最近、ニュースや新聞などでSDGsという言葉を目にすることや耳にする機会が増えました。
しかし、ニュースや新聞などの情報から「環境問題に関する様々な社会問題に取り組むこと」というのは何となくは理解していても、「SDGsには、どういった意味があるのか?」、「何から取り組めば良いのか分からない」などの疑問を持っている方は少なくありません。
環境問題に関心を持っている人が多い一方で、取り組めている方は非常に少ないためです。
では、SDGsに取り組むためには、何から始めたらいいのでしょうか?
これから仕事等でSDGsの取り組みを行う方や日常生活で取組を始めてみたい方は、SDGsの意味や取組内容について理解しておく事が非常に重要です。
そこで、今回の記事ではSDGsの「意味」「取組内容」をわかりやすく解説していきます。
是非参考にしてみてください。
この記事のまとめ
・SDGsとは、「持続可能な開発目標」のこと
・SDGsは17の目標が掲げられており、取り組み内容についても設定されている
・SDGsはMDGsの目標を引き続き、先進国も取り組むようにしてもの
・SDGGsは企業だけなく、身近なことから始められる
・企業もSDGsの取組を積極的に行っている
SDGsとは?わかりやすく解説
SDGsを理解するためには、そもそもSDGsがどういったものかを理解しておく必要があります。
そのため、ここでは以下の3つのポイントを解説していきます。
・SDGsとは
・SDGsの取り組み内容
・SDGsとMDGsの違いとは
上記の3つのポイントを理解していれば、SDGsの概要を知ることができます。
SDGsとは
SDGs(読み方はエス・ディー・ジーズ)とはSustainable Development Goalsの頭文字を取って、作られた単語で、SDGsを日本語に直すと、「持続可能な開発目標」という意味になります。
持続可能な開発目標をわかりやすく説明すると、「将来の世代の地球環境や資源が守られ、満足して暮らせる欲求を満たしながら、現在の世代の欲求も満足させるような開発」を行い、人間にとって理想的な社会を目指す事です。
では、どういったきっかけでSDGsの取り組みが始まったのでしょうか?
SDGs の取組が始まったきっかけは、2015年9月に国連で開催された持続可能な開発サミットにおいて、全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられ、誰ひとり取り残さない(No one will be left behind)を理念とする「SDGs」が採択されたのがきっかけです。
SDGsの取り組み内容
SDGsの取組内容は「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」で構成されています。
その17の目標は以下です。
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任 つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
この17の目標は、貧困、不平等・格差、気候変動、環境対策による影響など、世界の様々な問題を根本的に解決し、誰一人として取り残さずに、すべての人たちにとってより良い世界を作るために設定されています。
なお、17の目標は2030年までに達成することを目指して、世界では2016年から取り組みを始めています。
SDGsとMDGsの違いとは
実はSDGsが策定される前は、世界ではMDGs(国連ミレニアム宣言)という極度の貧困や飢餓の撲滅を掲げた宣言に取り組んでいました。
引用:外務省
では、SDGsとMDGsでどのような違いがあるか、ポイントをまとめたのが以下の表です。
|
SDGs |
MDGs |
日本語訳 |
持続可能な開発目標 |
ミレニアム開発目標 |
採択日 |
2015年9月 |
2000年9月 |
取組目標期限 |
2030年 |
2015年 |
目標数 |
17 |
8 |
ターゲット数 |
169 |
21 |
対象国 |
世界共通 |
開発途上国 |
SDGsはMDGsで達成出来ていない課題に加え、新たな目標を追加したものになります。
さらに、SDGsは対象国も開発途上国だけでなく先進国含めた世界共通の目標として、2030年の目標達成を目指している点も大きな違いです。
SDGsで掲げられた「17の目標」とは
SDGsの取組では「17の目標」が掲げられており、取り組み内容についても設定されています。
17の目標についてまとめたのが以下の表です。
目標 |
取組内容 |
1.貧困をなくそう |
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ |
2.飢餓をゼロに |
飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する |
3.すべての人に健康と福祉を |
あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する |
4.質の高い教育をみんなに |
すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する |
5.ジェンダー平等を実現しよう |
ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る |
6.安全な水とトイレを世界中に |
すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する |
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに |
すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する |
8.働きがいも経済成長も |
すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する |
9.産業と技術革新の基盤をつくろう |
靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る |
10.人や国の不平等をなくそう |
国内および国家間の格差を是正する
|
11.住み続けられるまちづくりを |
都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする |
12.つくる責任 つかう責任 |
持続可能な消費と生産のパターンを確保する
|
13.気候変動に具体的な対策を |
気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る |
14.海の豊かさを守ろう |
海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する |
15.陸の豊かさも守ろう |
陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る |
16.平和と公正をすべての人に |
持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する |
17.パートナーシップで目標を達成しよう |
持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する |
※出典:国連開発計画(UDNP)
上記の内容については以下の記事で、詳しく解説していますので、気になる方はぜひ参照してみてください。
私たちがこれから身近なことから始められるSDGsの取組とは
SDGsの取組に関しては、国や企業だけの取組ではなく、実は私たち一人ひとりも日常生活の中で始められることは多いです。
ここでは、SDGsの取り組みについて、「一般生活編」と、「企業編」にわけて紹介していきます。
一般生活編
日常生活で始められる代表的な取り組みは以下の3つのシチュエーションです。
・買い物に行った際の工夫
・日常の生活での工夫
・学校や企業での工夫
ここでは上記の3つのシチュエーションについて、解説していきます。
買い物に行った際の工夫
日常生活の中で身近に出来る取組として、買い物に行った際に以下のような工夫をする事で、SDGsの取組が行えます。
まず、1つ目の工夫はマイバック、マイボトルを持参することで、プラスチックの利用を避けることです。
そうする事で、ゴミの削減やプラスチックゴミの散乱による環境汚染を防ぐことにつながるので、17の目標の一つである「12.つくる責任 つかう責任」の目標実現に貢献出来ます。
2つ目の工夫は、スーパーなどで「見切り品」「訳あり品」や消費期限が近い商品を積極的に購入する事です。
食品ロスの削減につながるため、この工夫も「12.つくる責任 つかう責任」の目標実現に貢献出来ます。
日常の生活での工夫
次に普段の生活の中で、電気の使用や食事をする際に、以下のような工夫をすればSDGsの取組が行えます。
まず、1つ目の工夫はエアコンの使い過ぎや、不要な電気をつけっぱなしにするなどを止めることで電気を節約する事です。
そうすることで二酸化炭素の排出を抑え、地球温暖化対策になるため、「13.気候変動に具体的な対策を」の目標実現に貢献出来ます。
2つ目の工夫は、食事をする際に食べ残しをしない事です。
スーパーで「無駄な買い物を控える」ことや、外食したときは「食べきれる量を注文する」など、食べ残しを削減することで、食品ロスの削減に繋がり「12.つくる責任 つかう責任」の目標実現に貢献出来ます。
学校や職場での工夫
日常生活以外でも学校や職場で始められるSDGsの取組みもあります。
例えば、学校や職場では様々な年齢、性別、人種の方がいる場合があり、その場合は、年齢や差別、人種に関係なく差別することなく、平等に接する事です。
男性だから、女性だからといった考え方も止めて、平等に接することで「5.ジェンダー平等を実現しよう」の目標実現に繋がります。
また、紙の印刷を減らしペーパーレスに取り組む、印刷する際は環境に優しい用紙やインキを使用する事もSDGsの取り組みです。
上記の取り組み行うことで森林の不要な伐採を避けることで「13.気候変動に具体的な対策を」の目標達成に繋がります。
企業編
企業もSDGsの取り組みを積極的に行っており、様々な企業が取り組み事例を公表しています。
個人の取組とは違い、企業での取組は環境対策や働き方改革など、より目標や取組内容が具体的で取組人数や達成目標数値などが大きな取組が多いです。
ここでは、企業でのSDGsの取組事例について、3社の取組内容について説明します。
・金沢機工㈱の取組事例(炭化装置での環境対策)
・りそなホールディングスの取組事例(人権課題)
・ディップ㈱の取組事例(食品ロス)
それぞれについて説明します。
金沢機工㈱の取組事例
弊社では「捨てるから活かすへ 廃棄物が地球を活性化させる!」をテーマに、炭化装置を広め、捨てるはずの産業廃棄物を資源化する取り組みを行っています。
弊社が取り扱う炭化装置が持つ特徴は以下です。
・炭化収率が高い(灰の発生が低い)
・発生する炭の状態が良質(原料形状を保持)
・稼働中の煙が少ない
炭化装置は有機物を熱分解し炭にするため、燃焼処理と比べて二酸化炭素の排出を抑える効果があります。
さらに、炭化により発生した炭は燃料や自然堆肥などの有機性の資源として利用可能です。
このように、捨てるはずの産業廃棄物などを資源化する事で、環境に配慮した取組を行っています。
※出典:金沢機工㈱
りそなホールディングスの取組事例
りそなグループでは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、自らの人権を尊重する責任をグループ内外にコミットメントするために、2013年2月に「グループ人権方針」を制定しています。
さらに、この方針は2016年4月に、LGBTや障がい者の人権、各種ハラスメントなど最新の人権課題に対応したものに改定されており、2030年SDGs達成に向けたコミットメントとして「人権や多様性を尊重し、誰もが仕事も生活も充実させ自分らしく活躍できる社会づくりに貢献します」をテーマとしています。
※出典: りそなホールディングス
ディップ㈱の取組事例
ディップはフードバンクプロジェクトの取組を行っています。
フードバンクとは、食品企業の製造工程で発生する規格外品や、生産者からの善意による無償提供を受けた食品を預かり、福祉施設等へ無料で提供する活動です。
「経済的な事情で日々の食事に困っているすべての人に、必要な量の食べ物を届けたい」という想いから、ディップは各地域のフードバンク団体と協力し食品を提供してくださる事業者様との仲立ちをしています。
※出典:ディップ㈱
まとめ
この記事ではSDGsの取り組みの意味や取組内容、目標について詳しく解説してきました。
SDGsは日本だけでなく、世界でも行われている重要な取り組みです。
そのため、SDGsについて理解しておくことは、今後より必要になってきます。
SDGsについてこの記事で解説したポイントは以下です。
この記事で解説したポイント
・SDGsの取組内容は「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」で構成されている
・SDGsの前身はMDGsで、2000年から取組が始まっている
・MDGsは対象国が開発途上国に対して、SDGsは対象国が先進国も含む世界の国に広げられている
・日常生活で始められるSDGsの取組は買い物時にマイバックを持つ、生活時に節電するなど
身近なところから始められる
・企業もSDGsの取り組みを積極的に行っている
この記事を参考にして頂き、SDGs についてどのような取組内容かをよりくわしく理解してみてください。