日本は世界の国々と比較しても、世界有数の森林国として名を馳せています。
実際、森林面積は日本国土面積の約3分の2にあたる約2,500万ha(人工林は約1,000万ha)と、非常に広大です。
木には二酸化炭素を吸収してくれる働きがあるため、このことは地球温暖化対策として、とても良い事のようにも思えます。
ところが、森林面積が広がりすぎることによるデメリットは、意外と大きいものです。
一定まで育った木は二酸化炭素を吸い込む量よりも吐き出す量の方が多いうえに、背の高い木が山を覆ってしまうことで実を成すような低い木が育たず、野生鳥獣が人里に降りてきて畑を荒らすなどの被害が出てしまっています。
これらのデメリットを防ぐためには、定期的に間伐を行い適正な管理を行うことが非常に重要です。
しかし、自治体や森林組合が間伐を行い、間伐材を放置していることによる問題も小さくありません。
このため、本記事では間伐材の利用方法や利用状況、間伐材の課題について詳しく解説します。
ポイントは以下です。
この記事のまとめ
- 間伐材とは
- 間伐材の課題
- 間伐材の利用が減っている
- 間伐材を放置することで土砂災害の被害が大きくなる
- エネルギーとして利用された木材チップの量の推移
- 木質ペレットの普及状況
- 間伐材の活用方法を紹介
では、それぞれについて詳しく説明していきましょう。
間伐材とは
間伐の過程で出てきた木材を、間伐材といいます。
一方、森林に生えている木々の混み具合に応じて、樹木の一部を伐採することにより、残った木の成長を促す作業が間伐です。
定期的に間伐を行うことにより、生い茂った木々でブロックされていた太陽光が地表に届けることができ、下層植物の発達が促進。
これにより、森林の持つ水源涵養機能や土砂災害防止機能、生物多様性保全機能などが増進されるといわれています。
したがって、間伐は山本来の働きを維持するためにも非常に重要です。
もちろん、林業的にも残された木々の成長を促すことができるため、間伐は欠かせません。
間伐材の課題
先述したように、間伐を行うことにより、水源涵養機能や生物多様性保全機能などの山が本来持つ機能を発揮できるようになるだけでなく、木材の価値を高める効果もあります。
しかし、間伐は非常に労力が掛かるため、満足に出来ていないのが現状です。
また、間伐をしたからといって、その過程で発生した木材が有効活用されていないという課題もあります。
具体的には以下です。
- ・間伐材の利用が減っている
- ・間伐材を放置しており土砂災害被害が大きくなる
それぞれについて詳しく解説するので、確認するようにしましょう。
間伐材の利用が減っている
元来、伐採した木材は紙などの事務用品や、割り箸などの生活用品として利用されており、非常に重宝されてきました。
しかし、間伐材の利用は年々減ってきており、非常に問題視されています。
環境問題への取組みとしてペーパーレスが促進されることで木材の利用が減ったり、国産木材で作られていた箸の代わりに海外製で単価の安い箸が輸入され始めたためです。
とはいえ、別用途で間伐材を利用しようとする動きも出てきています。
木質チップにして燃料として再利用するケースや、炭化することで土壌改良材・調湿消臭剤・水質浄化剤・燃料として再利用するケースです。
弊社でも炭化装置をはじめ、バイオマス発電機などの普及に力を入れていますので、そういった装置に興味のある方は一度お話だけでも聞いてみてください。
詳しくは、以下のページから
間伐材の放置により土砂災害被害が大きくなる
放置した間伐材が土砂災害発生時に一緒に崩れてしまい、土砂災害被害が大きくなる可能性があります。
このため、間伐材は放置せずに利用することが重要です。
なお、放置竹林の間伐材放置はもっと危険なので、より注意するようにしてください。
竹は根を浅く張る特性があり、土砂災害を起こしやすいためです。
したがって、放置竹林の整備は必要ですが、闇雲な竹林整備は被害を大きくしかねないので、おすすめできません。
放置竹林を整備する際は、正しい知識を付けるようにしましょう。
放置竹林の整備方法は?補助金内容や活用事例もご紹介 | 金沢機工株式会社
間伐材の利用率について
ここでは、間伐材の利用率について紹介していきます。
具体的な内容は以下です。
・林地残材の利用率
・エネルギーとして利用された木材チップの量の推移
・木質ペレットの普及状況
それぞれについて、説明していきます。
林地残材の利用率
林野庁の「木質バイオマスエネルギー利用動向調査」の結果報告によると、2017年の燃料用の木材チップ等の木質バイオマス発生量約1,000万トンに対して、林地残材の利用率は約24%です。
少ないように思いますが、2014年度は年間発生量約800万トンに対し利用率が約9%でしたので、増加傾向です。
なお、林野庁が発表している「バイオマス活用推進基本計画」では、2025年の林地残材利用率を約30%以上とすることを目標として設定しています。
利用率は上がってきているとはいえ、まだまだ活用範囲や用途を広げることが重要です。
エネルギーとして利用された木材チップの量の推移
林野庁が発表している「木質バイオマスエネルギー利用動向調査」によると、2018年にエネルギーとして利用された木材チップの量は、合計930万トン(前年比7%増)です。
なお、2018年には、木材チップ、薪、炭等を含めた燃料材の国内消費量も902万m3(前年比16%増)となっており、エネルギーとして利用されている木質バイオマスの量も増加傾向にあります。
木質ペレットの普及状況
木質ペレットの普及が徐々に進んでいます。
林野庁の調べによると、木質ペレットの国内生産量は、2018年で13.1万トン(前年比4%増)です。
輸入量に関しては106万トン(前年比109%増)と需要が大幅に伸長しています。
木質ペレットは形状が一定で取扱いしやすいだけでなく、エネルギー密度が高い、含水率が低いなどの利点があるため、今後も需要が高まることが期待できる素材です。
間伐材の利用方法を紹介
豊かな自然を守りつつ土砂災害などの危険を回避するためには、間伐が非常に重要です。
しかし、間伐を行っても間伐材の処理に困ってしまい、林地に放置しまっては意味がありません。
このため、実際にあった取組事例を基に、利用方法を紹介していきます。
項目は以下です。
・バイオマス燃料としての活用
・間伐材を炭化利用しているM社の事例
・集成材としての活用
間伐を促し危険な林地残材を無くすためにも、間伐材の利用を検討してください。
バイオマス燃料として活用
バイオマス燃料とは、木材や枝葉などから作られる生物由来の再生可能なエネルギー源のことです。
今まで主要な燃料として使われてきた化石燃料は、燃焼時に多量の二酸化炭素を排出することから、地球温暖化の原因を引き起こすと考えられており、近年避けられつつあります。
その代わりとして、バイオマス燃料が注目を集めているのです。
実際、バイオマス燃料は大気中の二酸化炭素濃度に影響を与えないため、政府も積極的な利用を促しています。
補助金なども多数設けており、バイオマスを燃料とした装置を作っている企業も少なくありません。
弊社もバイオマスには昔から注目しており、バイオマスを燃料に廃棄物を処理する炭化装置などを販売しています。
さらに、バイオマスを燃料に発電する装置も開発中です。
間伐材を炭化利用しているM社の事例
間伐材を炭化することで有効活用しているM社の事例を紹介します。
M社は、元々林業を主な事業として行っている会社で、長年間伐材の処理に困って来られました。
そこに弊社から「炭化装置」をご提案。
炭化装置で竹炭や木炭を製造されています。
竹炭や木炭は昔から様々な用途で利用されていることもあり、M社も木炭や竹炭の販売で利益を出せているそうです。
「本当に竹炭って売れるの?」と思った方は、ぜひ以下のページをご覧になってください。
知っておくべき!竹炭の驚くべき効果とは?活用事例も併せて紹介します | 金沢機工株式会社
竹炭の持つ効果に驚くはずです。
集成材として活用
集成材とは乾燥させた小さな木材を接着材で組み合わせた人工的な材木のことです。
間伐材を利用して作られた集成材が、間伐材の活用方法として注目されています。
間伐材からできた集成材は、フローリングやテーブルの天板やカウンターなどの家具を作る際にも使用されており、加工しやすいのが特徴です。
正規の木材を使った家具よりも安く提供できるため、未来ある資材として非常に注目を集めています。
出典:間伐材と集成材の違いについて | 建機レンタルのヨシカワ
まとめ
ここまで、間伐の重要性や間伐材の課題、間伐材の活用方法について解説してきました。
間伐材を利用することは、環境保全の観点や土砂災害の危険性を減らすためにも非常に重要です。
この記事を読んで、間伐材の利用について考えてみてください。
ポイントは以下です。
この記事のポイント
・間伐材とは、木々を間引くために伐採する過程で発生する木材
・ペーパーレス促進や海外製の箸の輸入が増えたことで間伐材の利用が減っている
・間伐材を放置することで土砂災害の被害が大きくなる
・木材チップや木質ペレットの需要は増えている
・間伐材の利用方法を事例も踏まえて紹介
弊社は環境改善に重きを置き、環境に寄与できるような装置を販売しています。
炭化装置やバイオマス発電装置に興味のある方は、弊社までお問合せください。