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バイオマスとは? 種類や利活用について徹底解説

2024.10.24

炭化装置

地球環境への意識は世界的に高まっており、日本政府も2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。

 

そのためには、石油などの化石燃料に頼る状態から循環型社会に転換していく必要があり、資源の有効活用と環境負荷の軽減の観点から注目されているのが、バイオマスです。

 

エネルギーとしての燃料や、プラスチックの原料として利用が広がっています。

 

しかし、バイオマスがどのようなものか、いまひとつわからない方も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、バイオマスについて、その種類や利活用法を解説し、バイオマスの活用事例を紹介します。

 

 

バイオマスとは

バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す言葉から転じ、「生物由来の再生可能な有機資源」の総称となったものです。

 

石油や石炭も元々は動物性プランクトンや植物からできたものですが、再生可能とはいえないため、バイオマスからは除外されます。

 

木材や農業残渣、廃棄物、藻類など、化石燃料の代替として、または化学製品、材料などが原料として利用されるものです。

 

バイオマスは、カーボンニュートラルという特徴があるため注目を集めています。

 

バイオマスの原料として利用されるものは、その生成過程で光合成などによって二酸化炭素を吸収し、エネルギーとして燃焼される際に放出される二酸化炭素とバランスを取ることになるため、環境への負荷が低減されるのです。

 

バイオマスは、その再生可能性と環境への低負荷から、持続可能なエネルギー戦略の一環として世界中で利用が進められています。

 

バイオマスの種類

バイオマスの原料は大きく分けて下記の3つがあります。

 

  • 廃棄物系バイオマス
  • 未利用バイオマス
  • 資源作物

 

それぞれについて解説していきましょう。

 

 

廃棄物系バイオマス

 

 

廃棄物系バイオマスは、生活ゴミや食品廃棄物、下水汚泥、家畜糞尿、農業残渣など、一度は使用されて、その後廃棄される予定の有機性物質です。

 

これらを再利用せず焼却や埋め立て処分とすると、ただのゴミとなりますが、うまく活用すれば再生可能なエネルギーや資源となります。

 

廃棄物の減少と資源の有効活用が図られ、循環型社会の実現や地球温暖化の改善にもつながるのです。

 

 

未利用バイオマス

 

 

未利用バイオマスは、森林残材や農業で発生するもので、現在は利用されていない資源を指します。

 

具体的には、稲わら・麦わら・もみ殻・林地残材(間伐材、被害木等)などです。

 

これらは、収集や利用が難しいなどの理由で未活用のままとなっていますが、適切な技術とシステムを用いることで価値あるエネルギー源に転換が可能となります。

 

 

資源作物

 

 

資源作物は、エネルギー生産や材料製造のために、特別に栽培される植物です。

 

例えば、バイオエタノールの原料となるサトウキビやトウモロコシ、バイオディーゼルの原料となるナタネやヤトロファなどがあります。

 

 

バイオマスの利活用3選

バイオマスは、さまざまな利活用の方法が開発されています。

 

そのうち「バイオマス発電」「バイオ肥料」「バイオプラスチック」の3つを取り上げて解説していきましょう。

 

 

バイオマス発電

 

 

バイオマス発電とは、バイオマスを燃料として利用した発電方法のことです。

 

間伐材や廃材などのバイオマス燃料を直接燃焼したり、生ごみや家畜の排せつ物などを発酵させて発生するメタンガスなどを利用して発電する仕組みを指します。

 

エネルギーの発生量が自然環境に左右されないため、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーと比較して安定しているのが特徴です。

 

捨てるはずのものをエネルギーとして再活用する資源循環は、環境負荷の低減にも貢献しています。

 

環境にやさしい再生可能エネルギーとして、地域資源の活用やCO₂排出量削減に寄与しているのです。

 

 

バイオ肥料

 

 

家庭から出る生ゴミや家畜の排せつ物などから作られたバイオ肥料は、化学肥料がなかった昔から、農業に活用されていました。

 

人間の食べ残しや食品加工の廃棄物が肥料となって新しい農作物が育ち、それがまた食材となるという循環につながっています。

 

バイオ肥料は、土の中の微生物を活発化させるエサになるため土壌の改善につながり、保水性・排水性に優れた土壌になるといったメリットがあるのです。

 

バイオマスから作られる肥料は、有機物の循環を促進し、土壌の健康を維持するため、化学肥料に代わる持続可能な農業の実践に貢献しています。

 

 

 

バイオマスプラスチック

 

 

バイオマスプラスチックは、植物由来の原料を使用して製造されるプラスチックです。

 

化石資源に依存しないため、資源の持続可能性の観点から有益であり、環境負荷の低減が期待されます。

 

バイオプラスチックは、次の2つの手法で製造が可能です。

 

1つ目の製造法では、サトウキビやトウモロコシなどの植物原料を発酵して得られるエタノールなどから樹脂を合成します。

 

2つ目は、糖や油脂などの植物原料から樹脂を化学合成する手法です。

 

近年では、調理後に排出される廃食用油や、製紙工場から出る副生成物であるトール油なども原料として利用されるようになりました。

 

バイオマスの活用事例

これからの地球環境を保全するために、各地でバイオマスの活用が進められています。

 

ここでは、2つの事例を取り上げて紹介していきましょう。

 

 

熊谷組による木質バイオマスを利用した事業事例

 

 

大手ゼネコンの熊谷組は、製材する際に発生するバーク材(木の皮)を活用したバイオマス燃料を開発しました。

 

バーク材は他に使い道がなく、長年にわたって廃棄物として処理されていたものです。

 

これを有効活用しようと、熊谷組と清本鐵工が共同で開発を始め、『ブラックバークペレット(BBP)』を完成させました。

 

工場内でバーク材を半炭化し、燃焼効率のいいペレットを作り上げています。

 

製品の燃料品質が、太平洋マテリアル株式会社や石炭火力発電事業者に評価され、製造拠点の建設を始めました。

 

今後は全国に地域展開する構想があり、自治体や電力会社と協議を進めています。

 

また、日本の大口需要に対応するため、東南アジアなどでも研究開発や製造ができるよう検討しているところです。

 

 

鹿追町環境保全センターバイオガスプラントの事例

 

 

北海道十勝平野の北西部に位置する鹿追町は、酪農が盛んで、生乳の生産量は年間約10万トンにもなります。しかし、市街地と牧場が近く、家畜の排せつ物の臭いが悩みの種でした。

 

そこで、乳牛の排せつ物を発酵処理し、発生するバイオガスを利用して発電や燃料の生産を行う「環境保全センター」を建設したのです。2007年から稼働を開始しました。

 

ここでは、1日に約135トン、乳牛約1,300頭分の排せつ物を処理しています。市街地では排せつ物の悪臭がなくなり、酪農家も処理の手間が省けて助かっているようです。

 

1日の発電量は約6,000kWで、これは一般家庭600戸分の電気使用量に相当します。

 

また、発電した際に得られる熱エネルギーを活用して、チョウザメの養殖やマンゴーの栽培を行っているとのことです。

 

その他に、バイオガスから水素を抽出する実証実験にも取り組んでいます。

 

 

バイオマスを利用して環境保全に取り組むなら炭化装置を活用しよう

今回は、バイオマスの種類や利活用について解説し、バイオマスを活用した事例を紹介しました。


子どもたちの明るい未来につなげていくためには、政府が掲げているカーボンニュートラル社会の実現に向け、より一層、環境保全活動を進めていく必要があります。

 

バイオマスは、そのために大きな役割を果たすものと期待されているのです。

 

金沢機工では、環境保全に役立つ製品の開発に力を入れており、木質バイオマスに用いられる炭化炉や炭化装置では多様な製品を扱っています。

 

木質バイオマスの有効活用をお考えであれば、ぜひ金沢機工にご相談ください。

 

 


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