近年、ビジネスマンがスーツにカラフルなロゴのピンパッジを身に付けていたり、SDGsの特設コーナーが設けられているのをよく見かけるようになりました。
日本でもSDGsに取り組んでいる企業や団体が増えてきたためです。
しかし、まだまだ「SDGsのロゴにはどういう意味があるのか?」や、「SDGsは勝手に使用していいのか?」などの疑問を持っている企業は少なくありません。
実際、SDGsに取り組んでいる企業や個人の方でも、ロゴ使用時の申請方法や注意点について正しく理解していない方は多いです。
そのため、今回の記事ではSDGsのロゴに秘められた意味やロゴ使用時の注意点についても解説します。
SDGsロゴの使用許可を取る方法についても紹介しているので、是非参考にしてみてください。
この記事のまとめ
・SDGsとは、2015年9月に採択された持続可能な開発目標のこと
・SDGsは17の目標が掲げられており、取り組み内容についても設定されている
・SDGsのロゴのカラーには17色あり、1つ1つの目標ごとにカラーが異なっている
・SDGsのロゴは使用許可が必要なケースは2つ
・SDGsのロゴの使用許可を取るには国連に連絡する必要がある
SDGsの取組内容と目標
SDGsの取り組みを行うためには、そもそもSDGsがどういったものなのかを理解しておく必要があります。
そのため、ここでは以下の3つのポイントについて解説していきます。
・SDGsとは
・SDGsとはどのような取組内容
・SDGsの17の目標とは
上記の3つのポイントを理解して、SDGsに取り組む際の参考にしてください。
SDGsとは
SDGs(エス・ディー・ジーズ)はSustainable Development Goalsの略称で、日本語に直すと、「持続可能な開発目標」という意味になります。
2015年9月に国連で開催された持続可能な開発サミットにおいて、全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で、誰ひとり取り残さない(No one will be left behind)を理念とした目標として掲げられました。
具体的には、世界共通の問題である環境や飢餓、差別など様々な社会問題を解決するための17の目標で構成されています。
SDGsとはどのような取組内容
先述したように、SDGsの取組内容は「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」で構成されています。
この17の目標は、飢餓や貧困、不平等・格差、気候変動、環境対策による影響など、世界の様々な問題を根本的に解決し、誰一人として取り残さずに、すべての人たちにとってより良い世界を作るために設定された目標です。
その17の目標は以下になります。
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任 つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
上記の17の目標は2030年までに達成することを目指して、世界では2016年から取り組みを始めています。
SDGsの17の目標とは
SDGsの17の目標についてまとめたのが以下の表です。
目標 |
取組内容 |
1.貧困をなくそう |
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ |
2.飢餓をゼロに |
飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する |
3.すべての人に健康と福祉を |
あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する |
4.質の高い教育をみんなに |
すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する |
5.ジェンダー平等を実現しよう |
ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る |
6.安全な水とトイレを世界中に |
すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する |
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに |
すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する |
8.働きがいも経済成長も |
すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する |
9.産業と技術革新の基盤をつくろう |
靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る |
10.人や国の不平等をなくそう |
国内および国家間の格差を是正する
|
11.住み続けられるまちづくりを |
都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする |
12.つくる責任 つかう責任 |
持続可能な消費と生産のパターンを確保する
|
13.気候変動に具体的な対策を |
気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る |
14.海の豊かさを守ろう |
海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する |
15.陸の豊かさも守ろう |
陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る |
16.平和と公正をすべての人に |
持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する |
17.パートナーシップで目標を達成しよう |
持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する |
なお、17の目標については以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はぜひ参照してみてください。
SDGsの17の目標とは?私たちが出来る取り組みについても紹介します
SDGsのロゴに秘められた意味
3つのポイントを理解していれば、SDGsのロゴの概要を知ることができます。
・SDGsのロゴは2種類ある
・SDGsの色とデザインについて
・ロゴのデザインの意味と担当者の想い
それぞれについて説明していきます。
SDGsのロゴは2種類ある
SDGsのロゴには「国連主体向け」と「非国連主体向け」の2種類のロゴが存在します。
2種類のロゴの違いについてまとめたポイントが以下の表です。
|
国連主体向け |
非国連主体向け |
名称 |
国連主体向け国連エンブレム付きSDGsロゴ(バージョン1) |
非国連主体向け国連エンブレムのないSDGsロゴ(バージョン2) |
国連エンブレム有無 |
有 |
無 |
使用可能組織 |
国連の部局、基金、計画 国連システムのその他の補助機関及び組織のみ |
国連システム以外の主体 |
※出典:国連広報センター
基本的に国連主体向けのものを企業が使用することは出来ません。
そのため、国連のエンブレムがない非国連主体向けのロゴを使用することになります。
SDGsの色とデザインについて
SDGsのロゴと言えばカラフルな色が円形になっている、非常にきれいなロゴです。
このロゴのカラーは17色存在しており、17の目標をそれぞれのカラーで表示しています。
また、ロゴのデザインを担当されたヤーコブ・トロールベックさんの「すべての目標が一つになり、統合されている印象を与えられる、太陽のような形状にしたかった」という想いから円形のデザインになっているそうです。
ロゴデザインの担当者と開発への想い
SDGsのロゴをデザインされたのは、スウェーデン出身でクリエイティブディレクターとして活動されているヤーコブ・トロールベックさんです。
ヤーコブ・トロールベックさんは1999年にニューヨークにクリエイティブ・スタジオを設立した後、業界での数多くの実績と受賞履歴を持たれています。
ロゴデザインに関する想い
ヤーコブ・トロールベックさんがロゴをデザインした際の想いとして、「SDGsの取り組みを、とにかくシンプルな言葉やデザインにする事で行動に移して欲しい」という願いが込められています。
SDGsは17の目標と169のターゲットから構成されており、文字にすると非常に複雑なためです。
そのため、SDGsの取り組み内容を理解した上で、行動に移すことが大事であることを分かり易く訴える為に、非常にシンプルなデザインとなっています。
SDGsロゴを使用するときの注意点
最近、SDGsの取り組みを行う企業やSDGsに関連する商品を開発している企業が増えています。
そのため、取り組み内容をアピールするためにSDGsのロゴを使用したいと考えている企業も少なくありません。しかし、取り扱いについての注意点を正しく理解している企業はほとんど無いのが現状です。
では、どういった注意点があるのでしょうか?
それは、以下の4つの注意点です。
・ロゴの使用許可が必要な2つのケースを理解しておく
・ロゴの使用許可が不要なケースを理解しておく
・ロゴの使用許可を取る方法を理解しておく
・SDGsのロゴを使用する時には決められた文言など使用する必要がある
それぞれについて説明していきます。
ロゴの使用許可が必要な2つのケースを理解しておく
SDGsロゴの使用をする際に、国連本部の許可と適切なライセンス契約が必要なケースは2つです。
・資金調達が目的のケース
・商業用途が目的のケース
これらの利用目的でロゴを利用される際は、注意するようにしてください。
資金調達が目的のケース
SDGs活動の資金調達を目的とした使用では、国連本部の許可と適切なライセンス契約が必要になります。
例えば、SDGsロゴを使用してクラウドファンディングなどを実施する場合などです。
上記のような場合には、勝手に利用しないよう注意してください。
商業用途が目的のケース
営利企業による商業において、SDGsのロゴを使用するケースでも国連本部の許可と適切なライセンス契約が必要になります。
具体的には、SDGsロゴを使った商品を販売する場合や、名刺への印字や企業の製品パッケージに使用する場合です。。
上記のような場合には、勝手に利用しないよう注意してください。
ロゴの使用許可が不要なケースを理解しておく
SDGsロゴを使用する際、「情報目的」で使用する場合は、国連の許可を取得せずに自由にロゴを使用できます。
情報目的とは、非商業的で資金調達を意図としない使用のことです。
具体的には、事例を示すことが目的のプレゼン資料に使う場合や、年次報告、会社資料などに使用する、SDGsを普及させるためのポスター作成やチラシやグッズを作成する場合などが挙げられます。
また、報道機関(テレビ、新聞、雑誌、ウェブ)による情報目的での利用も許可は不要です。
このように使用許可が必要ないケースもあるため、覚えておくようにしてください。
ロゴの使用許可を取る方法を理解しておく
SDGsロゴの使用許可を申請する場合は、国連本部に以下の宛先にメールを送る必要があります。
(メールアドレス:sdgpermissions@un.org)
ちなみに、国連本部と直接やりとりする事になりますので、全て英語で対応することが必要です。
なお、送るメールの内容は以下を参考にしてみてください。
宛先のメールアドレス:「sdgpermissions@un.org」
メールの件名:「SDG LOGO/ICON REQUEST」
※急ぎの場合:「URGENT:SDG LOGO/ICON REQUEST」)
メールの本文:ロゴやアイコンの使用方法や用途を簡潔に記載。
用途がSDGsに合致していることを説明。
商品とSDGsの整合性を具体的に記載。
SDGsのロゴを使用する時には決められた文言などを使用する必要がある
情報目的でSDGsロゴと企業ロゴを組み合わせてPRする際には、以下のポイントに注意する必要があります。
・企業のロゴが左側、SDGsのロゴが右側
・企業ロゴとSDGsロゴの間を黒線(0.5pt)で区切る
・「(主体名/私たち)は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。」の文言を必ず記載
・SDGsカラーホイールの中に別のロゴを入れない
・色が付いた背景の使用の制限(SDGsロゴの背景の色は白色またはライトグレーのみを使用)
・SDGsロゴ・カラーホイールの加工をしない
上記のようにロゴの使用するには、厳格なルールがあるため、よく理解しておくことが重要です。
まとめ
近年、ニュースや新聞でSDGsという言葉を耳にする機会が増えたことで、新たにSDGsの取り組みを始めた企業や自治体が増えてきています。、それに伴って、内容や成果を世間に報告、アピールする為にSDGsロゴを使用する企業も増えているのが現状です。
しかし、SDGsロゴが使用目的によっては無許可での使用を禁止していることを、知っている人は決して多くありません。
そのため、この記事では、SDGsのロゴに秘められた意味やロゴ使用時の注意点について、詳しく解説してきました。
この記事で解説したポイントは以下です。
この記事で解説したポイント
・SDGsとは持続可能な開発目標
・SDGsは17の目標と169のターゲットから構成されている
・SDGsのロゴは「国連主体向け」と「非国連主体向け」の2種類ある
・ロゴには「SDGsの取り組みを、とにかくシンプルな言葉やデザインにする事で行動に移して欲しい」
という想いが込められている
・ロゴの使用許可が必要なケースは「資金調達」「商業用途」が目的の2つ
・ロゴの使用許可を取る方法は、国連本部にメールを送る必要がある(英語での対応必須)
・SDGsのロゴを使用する際に、ロゴやカラーホイールを加工しないなどの注意点がある
これからSDGsに取り組もうとしている方は、この記事を参考にしてみてください。