最近、テレビや新聞などで「日本の企業がSDGsの取り組みを始めた」というニュースを目にする機会が増えました。
このように、日本でもSDGsに取り組む会社が増えたことは、非常に喜ばしいことです。
しかし、企業にとってSDGsに取り組むことにどのようなメリットがあるのか、どのような取り組みを行えばよいのかを、正しく理解していない企業もまだまだ少なくありません。
そのため、この記事ではSDGsの基本的な知識や企業のSDGsの具体例についてをわかりやすく解説していきます。
企業の実際の取り組みに加え、ジャパンSDGsアワードで表彰された実際の取り組みについても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事のまとめ
・SDGsとは、「持続可能な開発目標」のこと
・企業がSDGsに取り組む際はSDGsウォッシュにならないように注意する
・企業がSDGsに取り組む3つのポイント
・ジャパンSDGsアワードはSDGs達成に向けた企業・団体等の取り組みを促し、オールジャパンでの取組を推進するための賞
SDGsに企業が取り組むメリットや注意点
企業がSDGsの取り組みを行うにあたり、SDGsの基本的な知識や取り組むメリット、注意点について理解しておくことが重要です。
そこで、ここでは以下の3つのポイントを解説していきます。
・SDGsとは
・企業がSDGsに取り組むメリット
・企業がSDGsを取り組む際の注意点
確認して、効率的なSDGsの取組みの参考にしてください。
SDGsとは
SDGs(エス・ディー・ジーズ)はSustainable Development Goalsの略語で、SDGsを日本語に直すと、「持続可能な開発目標」という意味になります。
取組内容は「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」で構成されており、貧困、不平等・格差、気候変動、環境対策による影響など様々な問題を解決するための目標です。
この目標を達成して問題を根本的に解決することで、「誰一人として取り残さずに、すべての人たちにとってより良い世界」ができると考えられています。
企業がSDGsに取り組むメリット
SDGsに取り組む企業のメリットは以下の4つです。
・ビジネスチャンスが広がる
- ・ステークホルダーとの関係性向上
- ・世間からの関心が高く、企業のブランド価値向上に繋がる
- ・優秀な人材の採用が可能になる
なお、SDGsに取り組むことで企業が得られるメリットは以下の記事で詳しく解説しています。
企業がSDGsに取組むメリットとは?SDGsの企業の取組事例について紹介します
企業がSDGsに取り組む際の注意点
企業がSDGsの取り組みを行う際には「SDGsウォッシュ」にならないように注意が必要です。
SDGsウォッシュとは、実態が伴わないのにSDGsに取り組んでいるふりをすることを指します。
例えば、これは日本政府の事例ですが、SDGsを推進しているはずの日本政府がプラスチックの規制強化を行って海洋プラスチックを削減する「海洋プラスチック憲章」に同意しなかったなどです。
出典:毎日新聞
このように、SDGsのひとつの取り組みを行っていても、他の取り組みについて、ないがしろにして矛盾が生じてしまうと「SDGsウォッシュ」と指摘されかねません。
企業がSDGsに取り組む際のポイント
企業がSDGsに取り組み成果に繋げるにはポイントをよく理解する事が重要です。
そこで、ここでは企業がSDGsに取り組む際のポイントを3つのステップにわけて紹介していきます。
・SDGsの目標をもとに自社の課題を明確にする
・身近なところからSDGsに取り組み、企業価値を高めよう
・経営方針・戦略に組み込み成果は社外へ報告する
それぞれについて詳しく解説していきます。
SDGsの目標をもとに自社の課題を明確にする
企業でSDGsに取り組む際は17の目標すべてに取り組むのではなく、各目標に照らし合わせて自社の事業と連動させながら、優先する取り組み課題を明確にすることが重要になります。
事業と連動させることでビジネスチャンスが広がる可能性があるだけでなく、取り組みを途中でやめるといった事態にならないようにするためです。
実際、SDGsの取り組みを行うには、少なからず費用がかかってしまうため、本業に利益がない取組みの場合は、費用が掛かりすぎて挫折してしまうケースも珍しくありません。
そのため、SDGsを継続していくためにも、本業とかけ離れた取り組みにならないように注意が必要です。
身近なところからSDGsに取り組み、企業価値を高めよう
SDGsの取り組みを行うにあたり、身近で始めやすい取り組みから始めることが重要になります。
簡単に行える取り組みをすることで継続的にSDGsに取り組むことがことや、社員の理解を得られやすいためです。
例えば、身近に始められる取り組み例は以下になります。
- ・不要な印刷は避けるなどのペーパーレスの取り組み
- ・不要な電気は消すなどの節電の取り組み
- ・地域で行われている清掃ボランティアに参加する取り組み
このように身近な取り組みへの参加人数を増やしていく事で、企業としての取り組みに発展させることができ、継続的なSDGsの取り組みを行うことが可能です。
経営方針・戦略に組み込み成果は社外へ報告する
企業としてSDGsの取り組みの目標を決定したら、経営方針や戦略に組み込み、実際に取り組んだ成果を社外へ報告することが重要になります。
経営方針や戦略に組み込む事で中長期的に取り組むことができ、SDGsの目標を達成できる確率があがるためです。
さらに、実際に取り組んだ成果を社外へ報告することにより、ステークホルダーからフィードバックをもらい、今後の取り組みの改善につなげることも出来ます。
このため、SDGsの取り組みを成功させるためにも、SDGsを経営戦略に組み込み、取り組みを社外へ報告することは重要です。
SDGsの企業取組事例をご紹介~金沢機工㈱~
弊社は石川県金沢市に本社を置く、機械工具取扱専門商社です。
弊社ではSDGsが採択される前から環境問題や働き方改革などの社会問題の取り組みを行い、2003年にKES環境マネジメントシステムの認証を取得し、省資源・省エネルギー・環境改善活動を進め、これまでのKESの活動をベースにさらに発展させるべく「SDGs」の取り組みに挑戦しています。
現在は、SDGsで掲げる17の目標の内、9つの目標で取組を進めていますが、その中から3つの取り組み事例について詳しく紹介します。
・「12.つくる責任 つかう責任」に沿った取組(炭化装置による環境へ配慮した取組)
・「5.ジェンダー平等を実現しよう」に沿った取組(女性の活躍躍進に関する取組)
・「8.働きがいも経済成長も」に沿った取組(働き方改革に関する取組)
当社の取り組み事例を参考にしていただけると幸いです。
炭化装置による環境へ配慮した取組
SDGsの17の目標の中で、「12.つくる責任 つかう責任」に沿った取組として、炭化装置による環境へ配慮した取組を行っています。
炭化装置とは、有機物を熱分解し炭にする事ができる装置で、炭は燃料や自然堆肥などの有機性の資源として利用可能です。
今回の取組では弊社と㈱DMM Agri Innovationで事業提携をし、ジビエ簡易加工処理施設と残渣炭化装置の運営、販売を実施しました。
食肉として利用された後の残渣を、炭化装置で炭化資源化することで、環境に優しい処理を実現しています。
女性の活躍躍進に関する取組
SDGsの17の目標の中で、「5.ジェンダー平等を実現しよう」に沿った取組として、女性の活躍躍進に関する取り組みを行なっています。
取り組み内容は女性ならではの視点で、職場環境改善計画を練る社内横断的な「活性化なでしこプロジェクト」を立ち上げ、子育て中の従業員の声に応えて時差出勤制度を導入する取り組みや、育児休業制度も希望者全員が柔軟に活用出来る取り組みです。
このような取り組みが、石川県経営者協会主催の他の模範となるような働き方改革の推進や障害者・高齢者・女性の活躍推進などに取り組む企業に表彰される「2021年かがやきカンパニー大賞」を受賞しました。
働き方改革に関する取組
SDGsの17の目標の中で、「8.働きがいも経済成長も」に沿った取組として、働き方改革に関する取り組みです。
働き方改革には関連法の施行前から着手しており、残業が多かった営業部で、通常より早く帰宅する日を設定し、過多な残業を抑止しました。
また有給休暇取得も促進しており、17年度で1人平均7.07日だった取得実績は、18年度で8.7日と増加傾向です。
※出典:金沢機工㈱
ジャパンSDGsアワードとは詳細と受賞した企業の取組事例をご紹介
ジャパンSDGsアワードとは、2017年6月の第3回SDGs推進本部において創設された、SDGs達成に向けた企業・団体等の取り組みを促し、オールジャパンでの取組を推進するための賞です。
「ジャパンSDGsアワード」には以下の3種類の表彰があります。
①SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞
②SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞またはSDGs推進副本部長(外務大臣)賞
③SDGsパートナーシップ賞(特別賞)
では、どういったSDGsの取り組みが過去に受賞しているのでしょうか?
それは以下の3つの事例です。
・2020年SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞受賞~みんな電力㈱の取組事例~
・2018年SDGs推進副本部長(外務大臣)賞受賞~会宝産業㈱の取組事例~
・2017年SDGs推進副本部長(外務大臣)賞受賞~サラヤ㈱の取組事例~
それぞれについて説明します。
みんな電力㈱の取組
2020年SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞を受賞したみんな電力㈱の取り組みは、再生可能エネルギーを通じた地域間連携(横顔プロジェクト)です。
「顔の見える電力」をコンセプトに、2016年から再生可能エネルギーを供給する小売り事業を実施し、「電力トレーサビリティ」システムの商用化を世界で初めて実現し、「どの発電所からどれだけの電気を買ったのか」を見える化する取り組みを進めました。
この取り組みは「都市部における再エネの利用を促しつつ、地方の経済活性化にも 寄与するものであり、相互関連性・相乗効果を重視している」と評価されています。
会宝産業㈱の取組
2018年SDGs推進副本部長(外務大臣)賞を受賞した会宝産業㈱の取り組みは、自動車リサイクルを通して、地球規模での資源循環型社会構築を目的にした活動です。
ブラジルやインドなどで、現地リサイクル工場設立による環境に配慮した自動車リサイクルのバリューチェーン構築と現地雇用の創出に取り組みました。
この取り組みを通じて、土壌汚染、廃プラスチック、タイヤなどの投棄、野焼きによる環境汚染の防止に貢献しています。
サラヤ㈱の取組
2017年SDGs推進副本部長(外務大臣)賞を受賞したサラヤ㈱の取り組みは、ウガンダとカンボジアで手洗いを基本とする衛生の向上のための取り組みです。
「100万人の手洗いプロジェクト」として、ウガンダに現地法人を設立し、衛生マニュアルを提供、持続可能なパーム油類の使用や、アブラヤシ生産地の生物多様性の保全に取り組んでいます。
まとめ
SDGsは日本だけでなく、世界でも行われている重要な取り組みです。
そのため、SDGsについて理解しておくことは、より必要になっていますし、具体的な事例を知ることは企業がSDGsを行ううえで非常に重要です。
そのため、この記事では企業がSDGsに取組む際のメリットと、ジャパンSDGsアワードについて解説してきました。
企業がSDGsに取り組む際の重要な事項についてこの記事で解説したポイントは以下です。
この記事で解説したポイント
・SDGsとは、「持続可能な開発目標」のこと
・SDGsの取組内容は「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」で構成されている
・企業がSDGsに取り組むメリットは4つある
・SDGsの目標をもとに自社の課題を明確にする
・経営方針・戦略に組み込み成果は社外へ報告する
・金沢機工㈱のSDGs取組事例を3つご紹介(環境配慮、女性の社会躍進、働き方改革)
・ジャパンSDGsアワードの受賞企業の取組事例を3社紹介
この記事を企業がSDGsに取り組む際の参考にしていただけると幸いです。