多くの生産現場で取り入れられている予知保全ですが、運送・配送業に導入する事例も増えています。
予知保全を取り入れることで様々なメリットを得ることができるからです。
本記事では、運送・配送業で予知保全を導入するメリット・デメリットや導入事例を紹介します。
本記事を読めば、予知保全について詳しく理解することができ、導入する際の参考になるでしょう。
予知保全とは
予知保全は機械や設備を計測・監視し、事前に故障・不具合を検知して保全業務を行うことです。
従来行われていた予防保全で生じる無駄なコストを抑制できるため、予知保全が注目されています。
予防保全は、あらかじめ耐用年数・耐用期間を部品ごとに決めて、一定期間が経過すれば壊れていなくても交換する方式です。
予防保全の場合は、まだ使える部品・機器であっても交換するため無駄なコストがかかりました。
対して予知保全であれば、故障や不具合の兆候が出たタイミングでメンテナンスや部品交換を行います。
予知保全は従来の保全方法よりも無駄なコストがかからず、機器・設備のトラブルを素早く察知し、迅速に対処できる点が大きなメリットです。
センサーやネットワーク機器、システムなどの技術の発展により、現在では多くの分野で予知保全が可能になりました。運送・配送業においても予知保全の導入が進められています。
予知保全については下記の記事で詳しく解説しているので気になる方は確認してください。
運送・配送業で予知保全を導入するメリット
運送・配送業で予知保全を取り入れるメリットは以下の通りです。
- 事故を防止できる
- 設備や車両の長寿命化が望める
- 安定した運用が可能になる
- コストの削減が可能になる
予知保全を導入するメリットを詳しく紹介します。
事故を防止できる
予知保全でトラックや貨物列車などの故障のリスクを事前に察知できれば事故防止につながります。
各種センサーを車両に搭載して状態を把握し、問題を検知すれば、故障や不具合が生じる前に対応できるからです。
トラックや貨物列車などが事故を起こすと大きな被害が生じます。
莫大な損害賠償請求に加え、企業イメージも失墜するでしょう。
事前にタイヤやエンジンなどの不調を検知して修理、交換などの対応ができれば、事故のリスクを下げることができます。
自動車や貨物列車による輸送の安全性を高め、大きな被害を未然に防ぐことができる点が予知保全の最大のメリットです。
設備や車両の長寿命化が望める
車両や設備が故障する前にメンテナンスを施し、長寿命化を図ることができるのも予知保全のメリットです。
大きな故障や破損などが生じる前の段階でメンテナンスを実行できれば、簡単な修理や部品交換で対応できます。
例えば、設備や車両に大きな故障が生じると大規模な修理が必要になるでしょう。
故障の程度によっては、設備や車両の交換が必要になるケースもあります。軽微な段階で修繕を施せば、機能・性能や耐久性を維持し、設備や車両の長寿命化を実現することができるのです。
安定した運用が可能になる
予知保全により、設備や車両の安定した運用が可能になる点もメリットです。
トラックやコンベアなどの異常を事前に検知して対応すれば、絶え間なく稼働することが可能となります。
例えば、大規模な修理が必要な状況になると、一時的に設備や車両の利用を止めなければなりません。
修理や交換が完了するまでには時間を要し、実働率が下がってしまうため、多くの運用機会を損失します。
予知保全により軽微な段階で異常を検知できれば、修理や部品交換にかかる時間を最小限に抑えることが可能となり、安定した運用が実現できます。
コストの削減が可能になる
予知保全により様々なコスト削減が可能になる点もメリットです。
車両や設備の保全にかかる人的コストを削減できるだけでなく、車両や設備にトラブルが生じ、出荷や配送が遅延した場合でも、損害を最小限に抑えることができるでしょう。
設備や車両の保全には多くの人的コストを要しますが、人の手で保全業務を行う場合は、より多くの人員が必要になるため、コスト削減の観点からも予知保全は効果的です。
予知保全のシステムを導入すれば、各種センサーがリアルタイムに監視し、問題を検知することができます。予知保全を取り入れることで、保全業務に必要な人員の削減が可能で、大幅なコストカットを実現することができるでしょう。
特に運送・配送業はコスト削減が大きな課題でもあり、予知保全を導入するメリットは非常に大きいと言えます。
運送・配送業で予知保全を導入するデメリット
運送・配送業で予知保全を導入する場合、以下のデメリットがあります。
- 費用がかかる
- データの収集に時間がかかる
デメリットについて詳しく紹介します。
費用がかかる
予知保全を行うシステムを整備するためには、安くない費用がかかる点がデメリットです。
予知保全を実現するには、各種センサーやソフトの導入が不可欠で、初期費用がかかります。
しっかりしたシステムを整えなければ、予知保全を実現することは困難です。予知保全を導入するためには、最初にまとまった費用が発生します。
例えば、運送車両の監視には、エンジンやタイヤなどに各種センサーを設置しなければなりません。
倉庫内にあるフォークリフトやコンベアなどの機器を監視するシステムも必要になります。
予知保全を行う規模が大きくなるほど、導入コストの負担も大きくなる点に注意しましょう。
とはいえ、予知保全の導入が各種コストの削減につながるため、トータルで費用対効果を検証することが大切です。
データの収集に時間がかかる
予知保全を導入してもデータの収集には時間がかかり、すぐに効果を期待できない点もデメリットです。
予知保全を機能させるためには、ある程度のデータが必要になります。
予知保全は蓄積されたデータをもとに故障を検知する仕組みです。収集の時間が短ければ十分なデータ量に達しません。
ある程度のデータ量を確保することで、AI学習によりアルゴリズムの構築ができるのです。
予知保全を導入しても、最初はデータ収集がうまくいかないケースも少なくありません。例えば、センサーを設置する位置が悪いため、必要なデータが集まらないケースもあります。
データ収集をうまく行い、十分なデータ量を蓄積するまでには時間がかかる点が予知保全のデメリットです。
運送・配送業における予知保全の事例
運送・配送業の保全業務においてトレーサビリティ化が進んでいます。
運送・配送業に関する予知保全の事例を三つ紹介しましょう。
車両の予知保全に「予知保全ソフト」を活用した事例
トラックや貨物列車といった車両の予知保全に「予知保全ソフト」が活用されています。
物流において、車両の適切な運用と維持は重要です。
車両が故障すれば、運送の遅延や費用の増加が発生するリスクが生じます。
車両に各種センサーを設置して車両の状態を監視し、予知保全を適用すれば、車両のトラブルを未然に防ぐことも可能です。
具体的には、センサーによってエンジン温度やタイヤ圧力、燃料効率などを監視することで、迅速に故障のリスクを検出することができます。
予知保全で故障や破損の兆候を検知できれば、早急な対応も可能です。
運送・配送業だけではなく車両の製造業においても、ハブナットが適正トルクで閉められているかといった点まで自動化するケースもあります。
様々な業界で車両の予知保全に予知保全ソフトを活用する事例が増えているのです。
倉庫設備の予知保全に「予知保全ソフト」を活用した事例
倉庫設備でも予知保全を導入する価値はあり、実際に「予知保全ソフト」が活用されています。
倉庫内で活用されるコンベヤシステムやパレットラック、フォークリフトなどの機器が故障すると大きな影響を及ぼします。
商品の出荷が遅れ、作業効率の低下を招くこともあるのです。
倉庫内の機器の状態を監視し、早期に異常を検知できるシステムを導入すれば、ダウンタイムを最小限に抑えることができるでしょう。
機器の故障を回避することで作業効率も向上します。
冷蔵輸送の温度監視に「予知保全ソフト」を利用した事例
冷蔵輸送の温度監視に「予知保全ソフト」を利用する事例があります。
冷蔵商品を輸送するには、商品の品質を落とさないために一定の温度を維持しなければなりません。
「予知保全ソフト」を利用すれば、輸送中の冷蔵設備の温度をリアルタイムで監視し、異常を早期に検知することができます。
冷蔵商品に問題が生じることを未然に防ぎ、多大な損害を被るリスクを回避することができるのです。
車両に予知保全の技術が活用される事例は増えてきています。構内輸送についての課題を解決するために予知保全を活用すれば、安定した物流を実現することができるでしょう。
予知保全を検討しているなら金沢機工にご相談を
予知保全を導入することで、コストダウンや設備・車両の安定した運用など、様々なメリットを得ることができます。
運送・配送業で予知保全が利用されるケースが増えているため、十分に検討する価値はあるでしょう。
予知保全の導入を検討されている方は、ぜひ金沢機工にご相談ください。