サトウキビの絞りかすである「バガス」の処分に困っている製糖会社は珍しくありません。
莫大な量のバガスを産廃処理するには、多額の処分費用がかかるうえに、そもそも製糖工場は離島にあることが多く、処理自体が困難であるためです。
一方で、SDGsの考え方が日本でも浸透しつつあることから、バガスの利活用について検討している製糖会社も増えています。
そのため、バガスを環境的かつ安価に処理して、なおかつ利活用する方法を探している製糖会社は非常に多いです。
そこで、この記事では、バガスの利活用方法を紹介しながら、そのために必要な処理についても詳しく紹介していきます。
バガスの処理に困っている製糖会社の方は、この記事を参考にしてみてください。
なお、この記事ポイントのポイントは以下です。
この記事のまとめ
・バガスの活用方法には8つの方法がある
・バガスを利活用するためには「炭化処理」と「乾燥圧縮梱包処理」がおすすめ
・バガスの炭化に炭化装置を導入しているA社の事例を紹介
・バガスを乾燥・圧縮するのに乾燥機・圧縮梱包機を導入しているB社の事例を紹介
バガスの活用方法8選
バガスの活用方法は、紙として活用する方法や土壌改良剤として活用する方法など、様々な方法があります。
それぞれ解説していきますので、バガスの処理に困っている方や、バガスの利活用を検討されている方は、どの利活用方法が自社に合っているかを検討してみてください。
紙として活用する
バガスは植物繊維を豊富に含むため、木材と同様に紙の原料であるパルプに加工することができます。
本来であれば廃棄されるはずのバガスを紙の原料に利用することで、廃棄物の削減につながるうえに、紙の原料として利用される木材の使用量を減らすことができるので、森林の環境保全対策にもつなげることができます。
さらに、製糖工場の近くに製紙工場を作ることで、木材を原料した場合と比較して、伐採や採集、運搬にかかるコストとエネルギーを削減することが可能です。
このように、環境に良い取り組みであるため、バガスを利用した「紙」が注目されています。
エコ容器として活用する
バガスは、テイクアウト用の食材を詰める弁当箱などのエコ容器として活用されています。
この容器はバガス容器と呼ばれ、前述したバガスを原料にした紙で製造されているため、プラスチック容器の代替品として最適です。
最近まで、プラスチックは丈夫で軽く安価な素材として全世界で利用されてきました。
しかし、近年「海洋プラスチック問題」や「原油の使用量問題」からプラスチックの利用を削減する動きが始まっています。
実際、スターバックスやコンビニエンスストアなどでも、プラスチックのストローではなく、紙のストローを使用するなど、プラスチックの代替品として紙が利用されることが増えてきました。
本来廃棄物として処理されていたバガスを、容器にしたバガス容器も当然注目されており、テイクアウトで利用する飲食店も増えています。
健康食品として活用する
バガスは「発酵バガス」として、健康食品やサプリメントの成分として活用されています。
発酵バガスとは、バガスの硬い繊維を爆破処理し、柔らかくした後に、発酵処理を行い食用化できるように加工したものです。
血糖値の上昇をゆるやかにする水溶性食物繊維が含まれていたり、有害物質を体外に排出する不溶性食物繊維が非常に豊富なうえに、善玉菌を増やすキシロオリゴ糖が含まれるので、腸内環境改善作用や整腸作用にも効果があると言われています。
土壌改良剤として活用する
紙と同様に、バガスの活用方法として利用されることが多いのが、土壌改良剤としての活用です。
サトウキビ畑の土壌改良材として使用することで、循環型の産業を行うことができるため、注目を集めています。
循環型の産業を目指している会社は、バガスを土壌改良材として使用することを検討してみてください。
なお、バガスを使った土壌改良を行う際は、バガスを乾燥させて利用することもできますが、より良い土壌改良効果が期待できるため、炭化装置を利用してバガスを炭化することがおすすめです。
炭化により良い土壌改良効果が得られる理屈としては、バガス炭に無数の微細孔が有されているためだと考えられています。
無数の微細孔によって吸排出性機能が高まり、土壌の乾燥を防いだり、水はけを改善する効果が得られるうえに、無数の微細孔が微生物の棲家となり、土中の有機物の分解が早まります。
水質改善材として活用する
バガスを炭化装置で炭化することにより、水質改善材としても活用することができます。
バガス炭は、保水力が非常に高く「1g」で「約5g」の水分を保持できる能力があるためです。
この数値は、木炭などと比較しても非常に多くの水分量を保持することができ、竹炭と比較すると約5倍の保水力があります。
この吸着性によって水中の有機物や濁り、臭素、塩素などを吸着し、水質を浄化することが可能です。
脱臭・調湿剤として活用する
バガスを炭化装置で炭化することにより、脱臭・調湿剤として活用することができます。
バガス炭の特徴は竹炭や木炭と比べて、比表面積が非常に大きいため、その大きな比表面積を生かして、炭内部にある微細孔で臭いの原因となる物質や湿気を吸着することが可能なためです。
上記の特性から、バガス炭は竹炭や木炭よりも脱臭・調湿剤として、より高い効果が期待されています。
バイオエタノールとして活用する
バガスは、バイオエタノールとしても活用されています。
実際に、日本企業がタイ政府と共同で、本来捨てられていたバガスからバイオエタノールを生成して、ガソリンの代替として燃料にする取り組みが行われました。
出典:バイオエタノール取組概要
バガスをバイオエタノールにすることで、再生可能エネルギー導入量増加による温室効果ガス排出抑制が期待されていますが、実用化にはまだ遠そうです。
バガスを燃やして蒸気で発電する
バガスの多くは焼却処分されていますが、燃やす際に発生する蒸気を使って発電する取り組みが行われています。
バガスをボイラーで燃やすことによって発生する蒸気を使い、蒸気タービンを廻して発電する仕組みです。
発電された電気は、製糖工場の動力源として利用されます。
また、焼却した際の熱も砂糖を作るための加熱器の熱源として活用されていたり、本来排熱する熱を使って乾燥や炭化をしている実例もあるため、他の装置と合わせて使用することも可能です。
ボイラーの熱利用も含めた総合的なご提案も、金沢機工なら可能なので、バガスの処理に困っている方は。弊社までご連絡ください。
バガスを利活用するために必要な処理方法
バガスは、紙や土壌改良剤、健康食品など幅広く活用されていますが、そのままでは活用できません。
バガスには約50%もの水分が含まれるためです。
また、再利用するにも、大量のバガスをそのまま保存しておくには、広いスペースが必要になってしまいます。
上記のような問題を解決するためには、バガスを事前処理することが重要です。
バガスを利活用するために必要な処理方法について解説していくので、内容をよく理解するようにしてください。
バガスを炭化する
バガスを炭化装置で炭化することにより、土壌改良剤や水質改善剤、消臭・調湿材として活用できます。
また、どのような使い方をしていても、最終的に土壌改良として使用することで、二酸化炭素を半永久に土中に固定化することが可能です。
このため、カーボンニュートラル・カーボンマイナスの取り組みにも最適だと言えます。
バガスを環境的かつ安価に処理して、なおかつ利活用する方法を探している方は、炭化装置の導入を検討してみてください。
なお、バガスを炭化してサトウキビ畑に撒くことで、資金を調達できるJ-クレジット制度も利用できます。
J-クレジット制度については、以下の記事で詳しく解説していますので、そちらを参考にしてください。
バガスを乾燥してから圧縮梱包する
バガスの成分は約半分が水分であるため、そのままの状態ではバガスの使用用途は限られてしまいます。
乾燥ボイラーの燃料としての効率も低くなってしまいますし、「紙」や「プラスチック容器」として利用する際にもバガスの脱水・乾燥・圧縮は必要です。
さらに、大量のバガスを保存しておくためには、広いスペースもいります。
このため、バガスの処理に困り果てている製糖会社も少なくありません。
しかし、上記のような問題も、燥機圧縮梱包機が解決してくれます。
バガスを乾燥圧縮することで、保存スペースの省スペース化やカビの予防ができるため、様々な用途での利用が可能です。
バガスの再利用を検討する際は、燥機圧縮梱包機の導入を検討してみてください。
なお、金沢機工なら製糖会社様に燥機圧縮梱包機を導入した実績もあり、様々な状況に対応が可能です。
燥機圧縮梱包機の導入を検討されている方は、弊社にお問合せください。
バガスの利活用を目指して処理機を導入している事例
バガスの利用方法としては、大きく分けて炭化装置で炭化して活用する方法と乾燥圧縮機を使って乾燥・圧縮したのちに活用する方法があります。
ここでは、バガスの利活用を目指して処理機を導入した事例について紹介していくので、参考にしてみてください。
バガスの炭化に炭化装置を導入しているA社の事例
バガスの炭化に炭化装置を導入しているA社の事例についてご紹介します。
A社は九州地方でサトウキビを栽培、砂糖を製造している企業ですが、サトウキビ搾汁後に出るバガスに長年悩まされてきました。
そんな折に、弊社からお声がけさせていただき、炭化装置を導入して頂くことに。
現在は、炭化装置を使いバガスを炭化、土壌改良剤としてサトウキビ畑に撒いています。
また、A社では本来捨てられるはずのバガスを炭化装置により炭化し、土壌改良剤として活用しているため、Jクレジット制度の活用もできています。
バガスを乾燥・圧縮するのに乾燥機・圧縮梱包機を導入しているB社の事例
バガスを乾燥・圧縮するのに乾燥機・圧縮梱包機を導入しているB社の事例についてご紹介します。
B社も製糖工場の運営を行っている企業で、サトウキビから砂糖を作成しており、搾汁後に発生するバガスの活用方法に悩んでいました。
一部はボイラー燃料として活用していましたが、すべては処理しきれず、工場の運営に支障が出るように。
広い保管スペースもなく、通気性の良い場所で保管しなければカビが生えるなど、多くの課題を抱えていました。
そこで、B社ではこれらの課題を解決するために、乾燥機や圧縮梱包機を導入することに。
乾燥・圧縮することで省スペース化が実現でき、さらに水分率が15%以下に下がったことでカビ発生もなくなり、長期保存も可能になりました。
また、乾燥・圧縮により個体も小さくなったことで、運送の手間なども縮小され、取引先からも喜ばれています。
まとめ
バガスの活用方法には、紙やエコ容器以外にも健康食品やボイラーの燃料、バイオエタノールなど多様な活用方法があります。
しかし、どの活用方法を利用するにも、炭化や、乾燥・圧縮などの処理が必要です。
そこで、この記事では、バガスの活用方法と合わせて、利活用するための処理方法を実際の事例を交えながら詳しく紹介してきました。
ポイントは以下です。
この記事ので解説したポイント
・紙やエコ容器として活用できる
・発酵バガスとして健康食品になる
・炭化することで土壌改良剤・水質改善材・脱臭・調湿剤として活用
・バイオエタノールとして活用できる
・バガスを燃やして蒸気で発電できる
・バガスを炭化装置で炭化することで二酸化炭素を永久固定化できる
・バガスを乾燥圧縮することで省スペース化やカビの発生を防げる
・バガスの利活用を目指して処理機を導入している事例を2つご紹介
ポイントをよく理解したうえで、バガスの処理で困っている方は、この記事の内容を参考にしてください。
なお、バガスの処理には一つの装置ではなく、多数の装置を組み合わせることをおすすめします。
例えば、ボイラーと乾燥・圧縮機を合わせて導入することで、発生する熱を無駄にせず、効率的に処理が可能です。
しかし、熱利用などを計算するのは容易ではないので、弊社にお問合せください。
弊社なら炭化装置や乾燥機、圧縮梱包機、ボイラーを取り扱っているため、最適な装置をご提案できます。