環境問題に取り組むことに注目する企業が増えています。
企業イメージの向上により、売上や出資額の向上が見込めるためです。
しかし、環境問題の取り組みを行うには、新たな設備導入や商品開発が必要で、莫大な時間や費用がかかります。
実際、導入費用やランニングコストが原因で、環境問題の取り組みに着手できていないという企業も少なくありません。
そういった問題を多少なりとも埋めてくれるのが、今注目を集めている「J-クレジット制度」です。
では、J-クレジット制度とはどういった制度なのでしょうか?
J-クレジット制度は、二酸化炭素の排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認定し、企業間で売買できる制度になります。
この制度により設備導入費用や商品開発費用の回収がしやすくなるため、より環境改善が進むことが期待されています。
とはいえ、J-クレジット制度について詳しく内容を把握されている方はそう多くありません。
そのため、本記事ではJ-クレジット制度の内容や活用方法について詳しく解説していきます。
本記事のポイントは以下です。
この記事のまとめ
・J-クレジット制度とは
・J-クレジット制度の歴史
・J-クレジットの申請方法
・J-クレジットの売買方法について
・J-クレジット制度の活用事例
本記事を読んで、J-クレジット制度を利用した環境改善活動を検討してみてください。
J-クレジット制度とは
J-クレジット制度は、2013年4月に始まりました。
内容は、「再生可能エネルギーの活用」や「省エネルギー設備の導入の取り組み」による二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を、「クレジット」として国が認証。
国から認証を受けた団体が、他の企業や自治体に、入札販売や仲介事業者を通して販売が可能といったものです。
削減・吸収できた二酸化炭素の量を、国の基準にもとづいた審査によって「クレジット」として可視化するため、地球温暖化対策への積極的な取り組みを行っていることをアピールできるといったメリットもあります。
J-クレジット制度の歴史
J-クレジット制度は、2013年に始まった制度ですが、前身があります。
環境省が2008年11月から開始したJ-VER制度と、経済産業省・環境省・農林水産省が2008年10月から開始した国内クレジットです。
オフセット・クレジット(J-VER)制度と国内クレジット制度が統合して、2013年に開始されたのがJ-クレジット制度になります。
出典:オフセット・クレジット(J-VER)制度 | J-クレジット制度 | 地球環境に関する審査・評価・支援 | 日本品質保証機構(JQA)
J-クレジットの申請方法
J-クレジットの申請方法には大きく分けて3つのフローがあります。
・プロジェクトの登録
・モニタリングの実施
・クレジット認証・発行
上記のフローについて解説していくので、内容をよく確認して申請するようにしてください。
プロジェクト登録
プロジェクトの登録では、「どのように二酸化炭素吸収・削減をしていくか」について記載された計画書を、審査機関が審査します。
この審査では、プロジェクト計画書の妥当性確認を行い、計画書に問題がなければプロジェクト計画登録が行われます。
したがって、不備がないように内容をよく確認してからの提出が重要です。
モニタリングの実施
モニタリングの実施とは、登録を行ったプロジェクト計画に基づき、排出削減・吸収量を算定するための計測を指します。
計測した結果を「モニタリング報告書」に記載し、審査機関によって検証するという流れです。
クレジット認証・発行
モニタリングの計測結果の検証で問題がなければ、クレジットの認証が行われます。
クレジットが発行されれば、初めてクレジット活用が可能です。
J-クレジット制度を確実に活用するためにも、申請手順は正しく理解しておくようにしてください。
J-クレジットの売買方法について
J-クレジット制度を有効活用するには、売買方法についても正しく理解しておくことが重要です。
J-クレジットの売買方法について詳しく解説していくので、参考にしてください。
J-クレジットの売却方法
J-クレジットの売却方法には大きく分けて3つの方法があります。
- ・仲介業者を通じてクレジットを売却する方法
- ・すでに認証されたクレジットをまとめた「売り出しクレジット一覧」に掲載し購入者を募る方法
- ・J-クレジット制度事務局が実施する入札販売でクレジットを売却する方法。
それぞれの方法ごとに、売却価格の決定方法に違いがあります。
売却価格の決定方法は以下です。
- ・仲介業者を通す場合:仲介業者との相対取引で価格が決定する
- ・クレジット一覧に掲載する場合:購入者との相対取引で決定する
- ・J-クレジット制度事務局が実施する入札販売の場合:落札価格で決定する
売却価格が大幅に変わる可能性があるので、違いをよく理解しておくようにしてください。
J-クレジットの購入方法
J-クレジットの購入方法も、売却方法と同じく、大きく分けて3つの方法があります。
- ・J-クレジット・プロバイダーなどの仲介業者を通じて販売されている案件を活用ニーズに合わせて購入する方法
- ・売り出しクレジット一覧に掲載されている案件を、購入可能なクレジットの量や特徴(実施場所、地域、具体的活動内容)を確認したのちに、クレジット保有者から購入する方法
- ・J-クレジット制度事務局が実施する政府保有クレジット等の入札販売に参加して、J-クレジット管理用口座を開設した後、クレジットを購入する方法
J-クレジットの購入を検討したいという方は、購入方法についてもチェックしておいてください。
J-クレジット制度の活用事例
J-クレジット制度の利用を検討するためには、すでに取組みを進めている企業の取組事例を確認して、参考にすることが非常に重要です。
取組事例を参考にすることで、J-クレジット制度を自社で活用できるのかを判断することができます。
以下の3社の事例について紹介していきましょう。
・イオンアグリ創造株式会社の事例
・鈴与商事株式会社の事例
・金沢機工の炭化装置を使ったJ-クレジット事例
上記の会社の事例を参考にしてみてください。
イオンアグリ創造株式会社の事例
イオンアグリ創造株式会社は、埼玉久喜農場に木質バイオマスボイラーを導入しました。
目的は、施設栽培ハウス内の加温用の熱源としてです。
化石燃料や系統電力などを使用しない木質バイオマスボイラーを導入することで、二酸化炭素排出削減を目指しています。
もちろん、J-クレジットにも認証されており、認証期間は2027年3月までです。
鈴与商事株式会社の事例
鈴与商事株式会社は、静岡県内の二酸化炭素排出量削減プロジェクトによって創出されたJ-クレジットを活用して、二酸化炭素排出量ゼロの電力供給を行っています。
具体的には、二酸化炭素排出量削減に取り組んでいる、あいネットグループ、株式会社ロジテムツムラの平成28年7月~9月の電力使用における二酸化炭素排出量を、買い受けたJ-クレジットで代理無効化。
二酸化炭素排出量ゼロの電力として提供しています。
金沢機工の炭化装置を使ったJ-クレジット事例
弊社は炭化装置を使用したJ-クレジット活用を促進しています。
例えば、大規模農業法人A社は、弊社の炭化装置を活用して廃棄物を資源化。
炭化装置の利用により二酸化炭素排出量を削減できるため、J-クレジットに認証されています。
認証されたJ-クレジットは、石川県内の環境事業A社、産業廃棄物処理事業B社へ提供する契約です。
このように、炭化装置を活用することで、本来捨てられるはずの廃棄物を再利用できるうえ、焼却時に発生する二酸化炭素排出を抑えることができます。
J-クレジット制度の活用を検討されている方は、弊社の炭化装置の活用を検討してみてください。
詳しくは、弊社HPをご覧ください。
また、下記の記事で炭化装置について詳しく解説しています。
炭化装置・炭化炉の種類や特徴は?燃料や原料になるバイオマスについても解説 | 金沢機工株式会社
まとめ
これからJ-クレジット制度の活用を検討しているなら、J-クレジット制度の内容だけでなく、売買方法やすでに活用している企業での事例についても知っておくことが重要です。
そのため、この記事ではJ-クレジット制度の内容だけでなく、実際に活用している企業の事例についても詳しく解説してきました。
この記事でのポイントは以下となります。
この記事のポイント
・J-クレジット制度は2013年4月に始まった二酸化炭素排出量削減のための制度
・J-クレジットの申請方法は「プロジェクトの登録」「モニタリングの実施」「クレジット認証・発行」の流れで進める
・J-クレジットの売却方法について
・J-クレジットの購入方法について
・J-クレジット制度の活用事例を3つご紹介
これからJ-クレジット制度の利用を検討されている企業の方は、それぞれポイントを正しく理解したうえで制度の活用を進めるようにしてください。