金沢機工株式会社
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炭化装置・炭化炉の種類や特徴は?燃料や原料になるバイオマスについても解説

2022.02.04

炭化装置

近年、地球温暖化による異常気象や気温上昇が全世界で大きな問題となっています。

 

地球温暖化に繋がる大きな原因と言われているのが、工場や車から排出される二酸化炭素です。

 

このため、世界中で「脱炭素」を謳った取組みがされています。

 

例えば、太陽光パネルを設置することによる、工場内で使用する電源の確保や、電気自動車の普及推進です。

 

しかし、これらはあくまで二酸化炭素排出を削減するための取組みであって、現在の大気汚染を改善できるものではありません。

 

そこで、近年注目を集めているのが炭化装置を使った資源有効化の取り組みです。

 

とはいえ、注目を浴びているといっても、装置の存在を知らない方も多く、種類や特徴、どのような活用方法がされているのかまで、把握している方はほとんどいないのが実情になります。

 

今回の記事では、近年注目を集めている炭化装置の種類や特徴について、分かりやすく解説していきます。

 

この記事のポイントは以下です。

 

 

この記事のまとめ

・炭化装置は有機物を熱分解させる事で炭にすることが出来る

・連続炭化装置は短時間で大容量の廃棄物を連続して処理することができる

・バイオマスは動植物から生まれた、再利用可能な有機性資源のこと

・バイオマスは「廃棄物系バイオマス」「未利用バイオマス」「資源作物」に分類される

・バイオマスは化石資源に変わるエネルギー資源として注目が高い

・バイオマスに関する企業の取組事例を3社紹介

 

 

炭化装置・炭化炉とは

 

炭化装置・炭化炉とは、廃棄物などの有機物を、熱分解させる事で炭にすることができる装置です。

 

現在も、廃棄物の大半は焼却処理して処分されていますが、焼却処理するにあたって、二酸化炭素を大量に排出するため、地球温暖化が進むと懸念視されています。

 

この点、炭化装置なら焼却処理と異なり、炭素を固着されることで、二酸化炭素排出を削減できるため、地球温暖化問題の解決が可能です。

 

また、炭化により発生した炭も、燃料や自然堆肥などの有機性の資源として利用することができるため、一切無駄がありません。

 

 

 

炭化炉・炭化装置の種類

 

炭化装置には、連続炭化装置・単式炭化装置という種類があり、それぞれ特徴が異なります。

 

このため、炭化装置の導入を検討する際は、それぞれの違いについて、詳しく把握しておくことが重要です。

 

ここでは、連続式炭化装置・連続式炭化装置の仕組みについてご紹介していきます。

 

 

 

連続炭化装置

 

 

連続炭化装置は名前の通り、連続して炭化することが出来る装置です。

 

大容量の原料を炭化することができる一方で、原料のサイズを選ぶといったデメリットもあります。

 

そんな連続炭化装置の詳細なメリット・デメリットは以下です。

 

メリット

・大容量の原料を炭化することが可能

・自動運転が可能

・高水分の原料でも炭化可能

デメリット

・細かい原料でないと運用できない

・完全に燃料をバイオマスにすることは難しい

 

上記のように、連続式炭化装置ならではのデメリットもありますが、大量の原料を炭化したい場合は、連続式炭化装置が向いています。

 

出典:機械部品・工作機械|機械工具取扱専門商社 金沢機工株式会社|炭化装置

 

 

 

単式炭化装置

 

 

単式炭化装置は連続炭化装置と比較すると、シンプルな構造ですが、連続式と異なり原料のサイズを選ばない(もちろん限界はあるが)などのメリットがあります。

 

そんな単式炭化装置の具体的なメリット・デメリットは以下です。

 

メリット

・煙がほとんど発生しない

・原料のサイズを選ばない(限界はある)

・4tから10t車で輸送可能

・自動運転も可能

・熱エネルギーを回収・利用するサーマルリサイクル

・完全バイオマス利用が可能

デメリット

・多すぎる原料に対応できない

出典:機械部品・工作機械|機械工具取扱専門商社 金沢機工株式会社|炭化装置

 

例えば、薪やイノシシなどの大きな原料を炭化したい場合は、この単式炭化装置が適しています。

 

 

 

炭化炉・炭化装置を活用した企業の取組事例

 

弊社の炭化炉・炭化装置を活用したA社の取組事例をご紹介します。

 

捨てるはずの産業廃棄物を、資源化する取組みです。

 

廃棄物の大半は、ごみ焼却施設にて焼却処分されていますが、A社では弊社の炭化装置を導入して、廃棄物を炭化。

 

発生した炭は自然堆肥などの有機性の資源として、再利用する取組みを行っています。

 

この取組みにより、焼却処分時に発生する二酸化炭素排出を削減できるだけでなく、廃棄物資源の有効化もできているため、地球環境への貢献も十分です。

 

 

 

バイオマスとは

 

 

バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す言葉で、「動植物から生まれた、再利用可能な有機性資源(石油などの化石資源を除く)」のことです。

 

主に木材、生ゴミ、動物の死骸・ふん尿、紙、海草、プランクトンなどを指します。

 

化石燃料との違いは、バイオマスは太陽エネルギーを使って水と二酸化炭素から、生物が生成した有機物であるため、太陽エネルギーがある限り持続的に再生可能な点です。

 

しかも、バイオマスを燃焼させた際に放出される二酸化炭素は、生物の成長過程で大気中から吸収しているものであるため、化石資源を燃焼させる場合と比較して、大気中に二酸化炭素を増加させないと考えられています。

 

出典:バイオマスとは?:九州農政局

 

 

 

バイオマスの種類と特徴

 

 

バイオマスは大きく分けて3種類あり、発生源や用途によって、「廃棄物系バイオマス」「未利用バイオマス」「資源作物」に分類されます。

 

それぞれの特徴や対象物について、詳しく解説していきます。

 

 

 

廃棄物系バイオマス

 

 

廃棄物系バイオマスは、廃棄物として発生しているバイオマスになります。

 

主な対象物は生ゴミや食品廃棄物、家畜排せつ物、動植物性残渣、廃棄紙、黒液(パルプ工場廃液)、下水汚泥、し尿汚泥、製材工場等残材、建築廃材などです。

 

上記の対象物をバイオマスとして活用することで、ゴミの量が減少し、廃棄する際に発生する二酸化炭素の削減にも繋がります。

 

出典:バイオマスとは?:九州農政局

 

 

 

未利用バイオマス

 

 

未利用バイオマスは、資源として利用されずに、廃棄されているバイオマスになります。

 

主な対象物は農産資源となる麦わら、稲わら、もみがらや林産資源となる林地残材などです。

 

未利用バイオマスは、収集、運搬などの手間がかかることが課題で、現時点では画期的な解決策は出ていません。

 

出典:バイオマスとは?:九州農政局

 

 

 

資源作物

 

 

資源作物は資源としての利用を考えて栽培されたバイオマスになります。

 

主な対象物は糖質資源であるさとうきびやてんさい、でんぷん資源である米やいも類、とうもろこしなど、油脂資源である大豆やなたね、落花生などです。

 

こういった資源を有効利用することを、常に検討されています。

 

出典:バイオマスとは?:九州農政局

 

 

 

バイオマスが注目を集めている理由

 

 

バイオマスは化石資源と違い、大気中に新たに二酸化炭素を放出しないことから、注目を集めています。

 

現在世界中で問題となっている地球温暖化現象は、二酸化炭素などの温室効果ガスの大気中の濃度が上昇していることが原因だと言われているためです。

 

バイオマスは化石資源に変わるエネルギー資源として期待されており、地球温暖化を抑制しながら持続的に循環利用できると考えられています。

 

出典:バイオマスって何だろう?:中国四国農政局

 

 

 

バイオマスに関する企業の取組事例

 

 

地球温暖化対策としてバイオマスを活用した取組みを行っている企業は数多いです。

 

では、どのような取組みを行っているのでしょうか?

 

ここでは、バイオマスに関する企業の取組事例について紹介します。

 

・キッコーマングループの取組事例

・味の素㈱の取組事例

・金沢機工の取組事例

 

バイオマスを使った取組みの参考にしてください。

 

 

 

キッコーマングループの取組事例

 

 

キッコーマングループの取組事例は排出される副産物や廃棄物の削減と再生利用です。

 

圧搾直後の生揚げしょうゆには、大豆に由来する多量の油(しょうゆ油)が含まれており、このしょうゆ油が古くから燃料(江戸時代には「燈油」)や機械油として利用されてきました。

 

キッコーマン食品では、しょうゆの製造工程から排出されるこのしょうゆ油を、化石燃料の代わりにボイラーの燃料として利用することで、二酸化炭素排出削減に繋げています。

 

出典:廃棄物の削減と再生利用 | キッコーマン

 

 

 

味の素㈱の取組事例

 

 

味の素㈱の取組事例は、紙とバイオマスプラスチックを使用した紙製容器包装の活用です。

 

味の素㈱は2030年度までにプラスチック廃棄物をゼロにするという目標を掲げ、資源の有効利用とプラスチックの使用量削減を目指す取り組みをスタートさせました。

 

その中で、EC向け「味の素100g」の容器を、紙とバイオプラスチックを使用した紙製容器包装を使用することで、従来の容器より40%プラスチック利用を削減しています。

 

ちなみに、バイオプラスチックを使用しているので、袋の原料の90%以上は植物由来です。

 

出典:紙製パッケージの「味の素」はご存じですか? | うま味調味料「味の素」|味の素株式会社

 

 

 

金沢機工㈱の取組事例

 

 

弊社の取組は、炭化装置を活用した廃棄物リサイクル(ジビエ)です。

 

具体的な取り組み内容としては、弊社と㈱DMM Agri Innovationで事業提携を行い、ジビエ簡易加工処理施設と残渣炭化装置のセット販売を行うことで、ジビエを食肉として、食べられない部分は炭化装置による資源化を行っています。

 

この取り組みの最大の特徴は、食肉として扱うことの出来ない骨や内蔵、病気を持った個体などの残渣を、炭化装置により炭化し、資源化することです。

 

そうすることで、本来は捨てられるはずのゴミを、資源として再利用することができるため、環境に配慮した取組となっています。

 

出典:DMM Agri Innovationが農林水産省の補助事業対象「ジビエ処理施設パッケージ」を自治体、企業向けに提供開始|合同会社DMM.comのプレスリリース

 

詳しくは、「今注目が集まっているジビエについて詳しく解説。炭化装置を使用した環境へ配慮した取組もご紹介」の記事で紹介しておりますので、気になる方は参照してみてください。

 

 

 

まとめ

 

 

地球規模で問題となっている地球温暖化対策として、炭化装置が注目されています。

 

炭化装置は、地球温暖化対策には欠かせないバイオマスを利用して、廃棄物を環境的に処理することが出来るためです。

 

そのため、この記事では、炭化装置やバイオマスについて、詳しく解説してきました。

 

この記事で解説したポイントは以下です。

 

 

この記事で解説したポイント

・炭化装置は有機物を熱分解させる事で炭にすることが出来る

・連続炭化装置は短時間で大容量の廃棄物を連続して処理することができる

・バイオマスは動植物から生まれた、再利用可能な有機性資源のこと

・バイオマスは「廃棄物系バイオマス」「未利用バイオマス」「資源作物」に分類される

・バイオマスは化石資源に変わるエネルギー資源として注目が高い

・バイオマスに関する企業の取組事例を3社紹介

この記事を読んで、炭化装置の仕組みやバイオマスについて、正しく理解するように・してください。

 


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