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バイオマス発電のメリット・デメリットとは?事例も交えてご紹介

2024.10.19

炭化装置

バイオマス発電は、再生可能なエネルギー源として注目を浴びています。

 

しかし、バイオマス発電のメリット・デメリットなどまでしっかりと理解している方は多くありません。

 

本記事では、バイオマス発電の基本から、そのメリット・デメリット、そして具体的な事例を交えて詳しく解説いたします。

 

エコロジーと持続可能性に関心のある方、次世代のエネルギー戦略を考える際の参考として、ぜひご一読ください。

 

バイオマス発電とは

バイオマス発電とは、動植物から作り出されるエネルギーのうち、化石資源をのぞいた部分「バイオマス」を利用した発電方法です。

 

具体的な発電方法としては、「直接燃焼方式」「熱分解ガス化方式」「生物化学的ガス化方式」の3つがあります。

 

それぞれの特徴は以下の通りです。

 

・直接燃焼方式:バイオマスを直接燃焼させるため燃焼温度が低く発電効率が悪く、大型の設備に用いられることが多い方式です。

 

 熱分解ガス化方式:バイオマスを高温で熱処理してガス化し発電に用いるもので、こちらは燃焼温度が高いため、直接燃焼方式よりも小さい設備で発電することができます。

 

 生物化学的ガス化方式:直接燃焼させにくい廃棄物系のバイオマスに用いられる方式であり、ガスの発熱量が高い分、発電効率が高いのが特徴です。

 

上記のような違いがあることを理解しておきましょう。

 

バイオマス発電のメリット

バイオマス発電のメリットとして、以下の6つが挙げられます。

 

カーボンニュートラルに寄与
廃棄物を利用できる
循環型社会を推進できる
地域創生できる
安定したエネルギー供給につながる
新しい市場が形成できる

 

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

 

カーボンニュートラルに寄与

 

「木質バイオマス」の主要原料である樹木は、生育中に大気中のCO2を吸収します。

 

この樹木を利用して木質バイオマスを生産し、その後燃焼させる際にはCO2が放出されます。

 

しかし、この放出されるCO2は元々樹木が大気から吸収したものであるため、全体としての大気中のCO2濃度には変動は生じません。

 

この理由から、バイオマス発電はCO2の実質的な排出量がゼロとみなされ、カーボンニュートラルなエネルギー源としての評価を受けています。

 

廃棄物を利用できる

 

ババイオマス発電は、再生可能なエネルギーの一つとして注目されています。

 

この発電方法は、廃棄物や間伐材などを燃料として使用し、エネルギーを生成することが可能です。

 

特に、都市部で発生する大量の廃棄物を有効活用できるため、廃棄物の削減に大いに貢献します。

 

また、森林の間伐材を利用することで、森林保全や森林資源の有効活用を促進し、環境保護にも寄与します。

 

循環型社会を推進できる

 

バイオマス発電は、サステナビリティと環境保全を考慮した循環型社会の形成を強力に後押しします。

 

この発電方法の特徴の一つは、木質チップとして使用される原料が、通常廃棄される間伐材から得られることです。

 

これにより、森林管理を促進しつつ、再生可能なエネルギー源として活用できます。

 

また、廃棄系バイオマスを採用する場合、通常捨てられる廃棄物をエネルギー変換の材料として再利用するため、資源の有効活用を促進し、循環型社会の実現に貢献します。

 

地域創生できる

 

バイオマス発電によって、地域創生も可能です。

 

バイオマス発電の場合、間伐材などを燃料としているため、資源地域は各地に点在しています。

 

そのため、小規模な発電所を各地に設置する必要があり、都市部・地方問わず雇用が発生することによって、地域活性化への貢献が期待できるのです。

 

安定したエネルギー供給につながる

 

バイオマス発電は、再生可能エネルギーの中で特に安定したエネルギー供給の一つとして注目されています。

 

この発電方法の主な燃料は、木材や糞尿といった有機物で、これらの資源は再生可能であり継続的に供給されるものです。

 

そのため、太陽光発電や風力発電のように天候の変動や特定の災害による影響を受けにくく、一定の発電量を持続的に確保することが可能です。

 

これにより、エネルギーの安定供給を実現することができます。

 

新しい市場が形成できる

 

地域の未使用資源を利用することによって、資源の収集・運搬や、バイオマス発電施設の管理運営など、新たな産業を生み出すことができます。

 

例えば、発電時に生じた熱を温泉施設に利用したり、野菜の温室栽培などに活用したりすることも可能でしょう。

 

このようにバイオマスは、エネルギー発電のみならず、様々な用途での利用が期待されています。

 

バイオマス発電のデメリット

バイオマス発電のデメリットとしては以下の4つが挙げられます。

 

過度な森林伐採を生む可能性がある
輸送が環境負荷につながる可能性がある
高いコストがかかる可能性がある
原料の安定確保が難しい

 

それぞれのデメリットについて見ていきましょう。

 

過度な森林伐採を生む可能性がある

 

バイオマス発電は、間伐材だけでは足りない場合、森林伐採などを行う必要もあるため生態系への影響が懸念されます。

 

CO2排出量を削減できるのはメリットですが、過度の森林伐採によってCO2排出量削減の意味をなさなくなってしまう可能性があります。

 

また、土壌の栄養失効などによって森林が育たないといった弊害が起こるリスクも頭に入れておかなければなりません。

 

輸送が環境負荷につながる可能性がある

 

バイオマス発電の燃料となる材木の輸送が、環境負荷に影響を与えてしまう可能性があります。

 

バイオマス発電用の材木を集める際の人件費及び運搬コストの発生に加えて、バイオマスの運搬に伴うCO2の排出も懸念されるからです。

 

さらに、集めたバイオマス発電の燃料を適切な場所に運ぶ必要がありますが、広い地域に資源が分散しているため、運搬によるC02排出量も課題になってくるでしょう。

 

高いコストがかかる可能性がある

 

バイオマス発電は、初期投資や運用コストが高くなる傾向にあります。

 

現状、バイオマスの液体燃料の調達価格は高く、一般木材の原料と変わりません。

 

また、木質バイオマス発電所の原価は、燃料費がコストの7割を占めており、コストを低減させるのは難しくなっています。

 

さらに、バイオマス発電は、燃料である間伐材や廃材、生ゴミ、家畜の糞尿などの収集や運搬、管理が必要で、そのコストが割高になる傾向にあります。

 

原料の安定確保が難しい

 

バイオマス発電の材料は安定供給が難しいとされています。

 

なぜなら木質燃料のために使われる国内の間伐材は、国が定める規定によって利用量に制限があり、バイオマスの液体燃料や一般木材は、原料の7割以上を輸入に頼っているからです。

 

バイオマス発電を安定させるためには、国内外の原料の安定確保や持続可能性を考える必要があるでしょう。

 

バイオマス発電の事例

バイオマス発電の事例として以下の3つが挙げられます。

 

グリーン発電大分
京浜バイオマス発電所
群馬県上野村のガス化発電の事例

 

それぞれの事例について具体的に見ていきましょう。

 

グリーン発電大分

 

大分県日田市、ここは林業や製材業を中心とした木材産業が盛んな地域です。

 

「グリーン発電大分」は、林地残材や未利用伐採、さらには製材過程で出る木くずを賢く再利用して発電を行っています。

 

さらには、発電過程で生じる排温水を地元のハウスに低コストで提供。

 

これにより、低コスト・低炭素の農業支援も行っており、環境とコストの両面での持続可能な取り組みを推進しています。

 

京浜バイオマス発電所

 

「京浜バイオマス発電所」は、かつての「京浜製油所扇町工場」の跡地に新しく設立されたエコフレンドリーな発電施設です。

 

ここでの発電に使用される燃料は、木質ペレットやパームヤシ種殻などの木質系燃料に限定されています。

 

化石燃料を一切使用しないこの発電所は、そのエコロジーな取り組みにおいて、日本国内で最大級の発電規模を持つ施設として知られています。

 

群馬県上野村のガス化発電の事例

 

群馬県上野村では、地域活性化を目指して「木質バイオマスガス化発電事業」を展開しています。

 

この発電事業の核となるのは、木質ペレットを主要燃料とする発電所。

 

この取り組みは、上野村の林業、地域の主要産業、を活性化するための戦略の一環として実施されています。

 

さらに、発電所で生産される電気と排熱は、隣接するきのこ生産施設に供給され、エネルギーコストの低減にも成功しているのです。

 

次世代を考えバイオマス発電に取り組もう

この記事では、バイオマス発電のメリット・デメリット、バイオマス発電の事例についてご紹介しました。

 

バイオマス発電は環境に優しい一方で、輸入コストや運用コストがかかってしまうのがデメリットです。

 

また、バイオマス発電所はどこに建てるのかによってメリットも変わってきます。

 

本記事でのデメリット・メリットを参考にしながら、バイオマス発電の利用を検討してみてください。

 

 


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