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パワー半導体の将来性は?次世代パワー半導体も紹介

2023.09.10

半導体事業

近年の技術進展により、エネルギー効率の向上と環境への配慮がますます重要になっています。

 

その中で、特に注目されるのが「パワー半導体」の領域です。

 

この技術は、エネルギー制御と変換を高効率で行うことで、エネルギー使用量を削減し、持続可能な社会を構築するための鍵となるでしょう。

 

本稿では、パワー半導体の概要から用途、さらには次世代のパワー半導体についてまで、多角的に解説していきます。

 

パワー半導体とは



パワー半導体とは、電力の制御や変換を行う半導体の総称であり、しばしばパワーデバイスとも呼ばれています。

 

これらの半導体デバイスは、電力を効率的に制御し、電気エネルギーを効果的に変換する重要な役割を果たしています。

 

近年、エネルギー効率と省エネルギーの重要性が高まる中で、パワー半導体の需要は飛躍的に増加しているのが実情です。

 

産業界や自動車産業、再生可能エネルギー分野など、さまざまな分野で利用されています。

 

パワー半導体の将来性は非常に期待されており、今後も進化が続くことが予測されています。

 

とくに次世代パワー半導体では、より高いエネルギー効率、より高い耐熱性、そしてより小型・軽量化が求められているのです。

 

なお、以下でパワー半導体について詳しく解説しています。

 

SiCウエハの利用方法とは?パワー半導体についても解説

 

パワー半導体の用途



パワー半導体は、実際どのようなものに使用されているのでしょうか?

 

使用用途とともに詳しく解説していきます。

 

一般家庭向けの機器


パワー半導体は、一般家庭向けの機器に幅広く利用されています。

 

スマートフォンやタブレット、パソコン、テレビなど、私たちの日常生活に欠かせない電子機器には、小型で効率的なパワー半導体が組み込まれています。

 

これらの電子機器では、バッテリーの持続時間を延ばすために、パワー半導体が電力の制御を担当しています。

 

また、高性能な演算処理やデータ通信にも活用されており、快適なユーザーエクスペリエンスを提供していることを知っておきましょう。

 

さらに、テレビやオーディオ機器では、高画質や高音質を実現するために、パワー半導体が使用されています。

 

電気自動車


電気自動車(EV)の分野でも、パワー半導体はなくてはならないものなのです。

 

EVの動力源であるモーターの駆動や、バッテリーからの電源供給の制御に、効率的で高性能なパワー半導体が広く使用されています。

 

モーターの駆動では、高い電力変換効率が求められます。

 

電流のスイッチングを高速かつ正確に行うことのできるパワー半導体は、モーターの効率的な駆動を実現可能にするのです。

 

これにより、EVはより長い走行距離を持ち、より高いパフォーマンスを発揮することが可能になります。

 

またパワー半導体は、電源供給の制御という観点からも欠かないものなのです。

 

充電や放電時の電力制御において、高い効率で電力を制御し、バッテリーの寿命を延ばしています。

 

鉄道


鉄道においても、パワー半導体は重要な役割を果たしています。

 

電車のモーター駆動では高い電力制御能力が求められますが、パワー半導体はモーターの駆動に必要な電流をスムーズかつ効率的に制御し、電車の安定した運行を可能にしています。

 

さらに、ブレーキエネルギーの回生制御にも利用され、エネルギーの有効活用が図られているのです。

 

電車の快適性向上にも、パワー半導体が一役買っています。

 

効率的な電力制御は、空調装置をはじめ電動ドアの開閉装置などに使用され、快適な移動環境を乗客に提供しています。

 

また、パワー半導体の導入により電車のエネルギー効率が向上することで、環境への負荷も軽減されていることを知っておきましょう。

 

太陽光発電


太陽光発電においても、パワー半導体は重要な役割を果たしています。

 

太陽光発電は再生可能エネルギーの代表的な形態であり、持続可能なエネルギー源として注目を集めています。

 

この技術において、効率的な発電や安定した電力供給を実現するために必要不可欠なのが、パワー半導体なのです。

 

パワー半導体の将来性



パワー半導体は高度な技術を要し、多品種少量生産という特徴から参入へのハードルが高い分野とされてきました。

 

しかし、持続可能な社会を目指す省エネ・省電力化の動きが今後も進むことや、自動車産業などの需要の高まりによって、その将来性への期待は極めて大きいと言えるでしょう。

 

パワー半導体市場は成長産業であり、持続可能なエネルギー社会の実現に不可欠な存在として今後も重要性を増していくことが予想されています。

 

次世代パワー半導体を紹介



次世代パワー半導体は、より高性能で効率的な電力制御を実現するために、新しい素材と技術を駆使して開発されています。

代表的な次世代パワー半導体には以下の3つがあります。

 

 SiC(炭化ケイ素)パワー半導体


SiCはシリコンよりも高い耐熱性と耐電圧を持ち、低いオン抵抗を実現するため、高電力のアプリケーションに適しています。

 

エネルギー損失を抑え、高温環境下でも高性能な動作が可能です。産業機器や車載用途での利用が期待されています。

 

 GaN(窒化ガリウム)パワー半導体


GaNは高い電子移動度と電子飽和ドリフト速度を持ち、高周波での高効率な電力制御が可能です。

 

小型化と高いスイッチング速度により、高周波電力アプリケーションに適しています。

 

高頻度電源、ワイヤレス充電、レーダーなどの分野で活用が進んでいます。

 Ga2O3(酸化ガリウム)パワー半導体


Ga2O3は高い耐電圧を持つ特性があり、電力変換や高電圧アプリケーションに適しています。

 

大容量電力変換装置や高電圧電源、超高速スイッチングアプリケーションなどでの利用が期待されています。

 

すでに、こうした次世代のパワー半導体が注目を集めており、今後大きく社会を変革していくことが期待されています。

 

 SiCパワー半導体に使用されているSiCウエハーなら金沢機工にご相談を


ここまで、パワー半導体の将来性について、さまざまな角度から解説してきました。

 

その将来性は期待されており、今後も目が離せません。

 

SiCパワー半導体について前述しましたが、これらに使用されるSiC ウエハーについて興味のある方は、ぜひパワー半導体について熟知している金沢機工に相談してみましょう。


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