多くの企業で食品ロスの発生が社会問題となっています。食べずに廃棄される食品が増えると、ごみ処理に多額のコストがかかる点が問題です。
また、食べずに廃棄される食品の存在そのものに無駄があります。
本記事では、なぜ企業で食品ロスが発生するのか、その原因をまとめました。
さらに、食品ロスへの対策事例も紹介しています。食品ロスの問題が気になる方は参考にしてください。
企業で食品ロスが発生する原因とは
企業で食品ロスが発生する原因は以下が考えられます。
- 規格外品の発生
- 過剰生産
- 流通時の汚損や破損
- 販売予測を外す
- 調理で出た野菜くず
- お客さんの食べ残し
食品ロスが発生する原因をそれぞれ解説します。
規格外品の発生
製造の過程で規格外品が発生し、処分せざるを得ないケースは少なくありません。
規格外品とは、商品ごとに定められた重量や容量、パッケージとは異なった製品のことで、売り物になりません。
例えば、野菜や果物などは規格外品が市場に流通せず、大量に廃棄されていることが問題になっています。
過剰生産
欠品を避けるため過剰に生産した結果、食品が余り、食品ロスが発生するケースがあります。
メーカーは小売業者の発注に対応する必要があり、発注量を満たすことができないとペナルティが発生するのが一般的です。
欠品による罰金の支払いを避けるため、過剰生産が起こりやすくなります。
過剰生産により欠品を避けることはできるのですが、不良在庫や過剰在庫を抱えてしまい、新たな問題となるのです。
流通時の汚損や破損
食品の流通過程において、汚損や破損が生じて市場に流通させることができず、食品ロスが発生するケースがあります。
例えば、食品を運送する過程でパッケージに汚れや傷がつくケースは少なくありません。
パッケージが破損していても、中身の食品には何の問題もないケースもありますが、パッケージに傷やへこみなどがあると売れ残るリスクがあるため、店舗側がメーカーに返品します。
行き過ぎた返品が食品ロスの問題を大きくしているのです。
販売予測を外す
メーカーが事前に販売予測をしたにもかかわらず、実際には売れ残って食品ロスが発生するケースも少なくありません。
メーカーと小売店はそれぞれ需要予測をして、製造や発注を決めるのが一般的です。
ただ、食料品の需要はトレンドや季節、気候などの影響を受けるため、予測が外れることはよくあります。
予測が外れて売れ残った食品は過剰在庫となり、最終的に廃棄されるため、食品ロスにつながるのです。
調理で出た野菜くず
食品の調理中に生じる大量の野菜の皮や根、ヘタといった野菜くずは、食べられるものでも廃棄されるため、食品ロスの原因になります。
また、野菜や果物の皮を厚くむきすぎる、ヘタや種を取るときに実の部分も含めて過剰に切り落とす、といったケースも少なくありません。
肉を調理する際に脂身の部分を過剰に切り落とすケースもあります。
調理の際に食べられる部分を過剰に除去してしまうことは、食品ロスの原因の一つです。
客の食べ残し
飲食店の客が過剰に料理を注文しながら、食べきれずに残すケースも少なくありません。
各自が食べ切れる量を把握して、適切な量の料理を注文すれば食品ロスを削減することができます。
ただ、実際には料理を注文しすぎてしまうケースはめずらしくありません。
企業が食品ロス対策に取り組むべき理由
企業は以下の理由から食品ロス対策に真剣に取り組むべきです。
- コストの削減
- 企業イメージと売上の向上が期待できる
なぜ企業は食品ロス対策に取り組むべきなのか、理由を詳しく紹介します。
コストの削減
企業はコスト削減のため、食品ロス対策に取り組むべきです。
食品ロスが生じると廃棄に費用がかかります。
余剰食品の破棄費用は無駄な出費で、バカになりません。
特に食品製造のメーカーや外食産業、小売業において大量の食品ロスが発生しています。
廃棄に多額の費用がかかり、経営を圧迫するケースも少なくありません。
食品ロスを減らすことで廃棄コストを削減できれば、企業にとっても収益の上昇が期待できます。
食品ロスの削減は人件費や材料費の削減にもつながるでしょう。
食品を扱う多くの企業で、人件費や材料費の削減が課題になっています。
食品ロスへの対策が企業の課題を解決する効果的な手段となるのです。
企業イメージと売上の向上が期待できる
食品ロスの削減に取り組むことで、企業のイメージアップにつながり、売上の向上も見込めます。
大量の食品ロスを発生させている企業のイメージは良くありません。
多くの消費者が食品ロスの問題点を認識するようになった昨今、企業の対策が注目されています。
食品ロスの削減に取り組み、具体的な対策や取り組みの概要を消費者にアピールすることで、イメージアップにつながるでしょう。
企業にプラスのイメージを持ってもらうことで、商品のPRや店舗への集客などにもつながり、売上の向上が期待できます。
企業が実施している食ロス対策事例
企業が実施している食品ロスの対策として、以下の三つの事例があります。
- 賞味期間を延長した事例
- フードバンクに寄付している事例
- 予知保全ソフトを導入した事例
上記の事例について詳しく紹介します。
賞味期間を延長した事例
味の素株式会社は食品ロス削減のため、賞味期間を延長する施策を行いました。
味の素では2018年8月から一部の品目について、賞味期限の表示を「年月日」から「年月」に変更し、併せて賞味期間の延長を行っています。
味の素は独自の検証を行い、可能な限り賞味期限を延ばす努力をしました。
賞味期間が延びたことで食品を販売できる機会が増え、売れ残って廃棄される食品も減らすことができます。
また、賞味期限の表示が「年月」になったことで、食品の管理が日単位ではなく月単位で行われるようになりました。
「年月」の表示であれば、長く食品を販売することができ、消費者にも手に取ってもらいやすくなります。
参考:味の素(株)、家庭用製品(調味料・加工食品)の賞味期限「年月」表示化完了 ~製・配・販連携による“フードロス削減”や“物流効率化”を目指して~
フードバンクに寄付している事例
ニチレイフーズは、フードバンクに寄付することで、食品ロスの削減に取り組んでいます。
ニチレイフーズは日本の大手冷凍食品会社としてフードバンク活動に初めて参加しました。
ニチレイフーズの参入をきっかけに、国内の他企業もフードバンクに参加するケースが増えています。
ニチレイフーズは海外から食品を輸入しているため、荷物が積み重なり、箱がつぶれてしまうケースがありました。
別の箱に詰め替えたり、飼料に転化したりしていたのですが、それも限界があるため、最終的に大量の食品を廃棄していたのです。
そんな中、2005年にフードバンク活動への協力を開始しました。
ニチレイフーズでは、品質に問題はないのに市場では販売できない冷凍食品をフードバンクに無償で提供しています。
低温輸送で品質を損なうことなく、販売できない冷凍食品を養護施設などに届けることで食品ロスの削減に貢献しているのです。
予知保全ソフトを導入した事例
予知保全ソフトの活用により食品ロスを削減した事例があります。
予知保全ソフトを導入すれば、製造ラインの機器の異常を即座に検知することが可能です。
例えば、オーブンの性能低下や不具合、故障などを早期に検知することで対策を取ることができます。
食品製造の各機器について、適切なタイミングで修理やメンテナンスを施すことで、常に安定した品質を維持できるでしょう。
その結果として、規格外品が減ることになります。規格外品の数を減らすことで、廃棄される食品も削減することができるのです。
実際に予知保全ソフトを導入して、オーブンの異常を早期に検知することで、食品ロスの導入に成功した事例があります。
予知保全ソフトは食品ロスの削減に寄与できるのです。
なお、予知保全については下記の記事で詳しく解説しています。
食品ロスの原因を把握して対策に取り組もう
食品ロスを放置すると様々なコストがかさみ、企業には大きな負担となります。
食品ロスに対処しないと、企業イメージが悪化し、その結果売上にも悪影響を及ぼすでしょう。
食品ロスの原因を把握し、適切な対策に取り組むことで、コスト削減や企業イメージのアップなど多くのメリットを手にすることができます。
予知保全ソフトの導入などを通して、食品ロスの対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。
なお、金沢機工では「機工報」という予知保全ソフトを取り扱っています。
金沢機工の「機工報」ではお試しの運用も可能となっているため、検討する際はぜひご相談ください。